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ホリデイ・パーティ

石楠花(シャクナゲ)です。もちろんよそん家だ。


「バガボンド」で、武蔵が留まった飢饉の村の農民の、忘れられない言葉がある。


「人の毒」。


武蔵と共に飢饉を救った老人は、老いて病んでいくが、農作業を止めない。

「休むとかえって調子悪くなる

土に出て働いて

やっと人の毒が流れていく

恐れ

迷い」

そして老人は見る。稲も雑草も虫も。

「こいつらにはない

人だけの毒」


毎朝歩く。老人たちもまだいない黎明の時間が普通だけど、今朝は久々に酔っ払ってゆか寝して寝坊したので、6時前にやっと出た。
広場か空き地で赤花夕化粧と、しろつめくさを摘んでくるつもりだった。

赤花夕化粧

アメリカ原産のもので野生化している。東京を出て初めて見た。
摘んできて神さまにあげるつもりだった。


ところが、広場はきれいに刈られていた。そこに、老人たちが集い、にこやかに話していた。いつ刈られたのだろう。多分雨のあと。広いし、やり方から見て業者だろう。


私は掃除は大好きでも、隔月業務の草刈りがイヤだった。どんな小さな草もコケも、私のおさない頃からの友達で、意味のあること以外で彼らを排除するのは個人的に辛くてたまらないからだ。
みんなと離れて一人作業しながら、ずっと泣いていた。マスクがありがたかったし、涙を見られたら花粉症だと言えばいい。
ごめん。許してくれなくていいよ。人間なんか私も含めて、いつかみんなで滅ぼしてしまっておくれな。
そう草花たちに話しかけながら。

せっかくの草刈りあとに、ペットボトルや空き缶がいくつも落ちている。今日は月いちの、ペットボトル、缶びんの収集だったので拾って集積所に持って行った。


それから、別の空き地に行った。そこには赤花夕化粧も、長実雛芥子も、アメリカフウロも、野芥子も健在だった。
そこに立って、しばらくじっとした。
それから、夕化粧を少し摘んだ。
いつもの猫たちが出てきて、私を認めて目をつむる。私もそうする。
ああ、おはよう。

ナガミノヒナゲシ


なんで今日も生きていられるんだろう。
私もおまえたちも。
よかった。
うれしい。
毎朝こんなこと考えている。
これが私の遺言。


ゆらりと帰る途中、近隣の住民と会う。
軽く立ち話して、そして、猛烈に部屋に戻りたくなった。早く一人になりたい。大好きなT兄の写真にキスして、いつものことをしたい。


洗濯、掃除。
私の仕事のあとめはいつも褒めてもらえたが、丁寧過ぎてタイムが遅いことがネックだった。道具のケアも全てしたかったし。バックヤードはぐちゃぐちゃ?それでも掃除屋かよ。泣いてる道具も愛せないで、それでも?パートだからいい?
ダメだ。怒られてもいいや。いつか誰かがやる?いや、誰も。
意味が?考えない。


これらが、人の毒だよね。
作業をしてるときれいに忘れていく。
きれいになって、お天気も最高。
外へ?
ウウン、窓を開けておうちでパーティをしよう。


それから2時間、踊った。超笑った。楽しくて、うれしくて。花も元気に咲いてくれてる。


足や手や肩の痛みが消える。何故痛いのかも踊ってたら分かった。
もっと速く、もっと優雅に、ふと完璧に止める。そして爆発。それから魚になったり鳥になったり猫になったりする。
焼酎のお酢割り(コレけっこうイケる)飲みながらって、これじゃ酔拳だ(笑)
ほら油断しないでまた蹴れ、腕ばっか動かすな、脚で喋れ。楽しくて楽しくて。
BIGBANG感謝。


よっしゃほぼ完コピ‼️

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