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自分の書きたいジャンルを決定するということ――主題(テーマ)や対象(ターゲット)層、書きたい気持ちと好き


はじめに

 こんにちは、ジャンル迷子です(冗談半分本気半分です)。今回は、自分が書きたいジャンルとはなにか、向いているジャンルとはなにか、向いていないとはなにか、カテゴリーエラー(カテエラ→レーベルカラーにあわない事)とはなにかなどについて考えてみたいと思います。

ジャンルとは?

 小説にジャンルはないという考えも勿論あると思います。ここでは便宜上、新人賞投稿時によく言われるジャンルで区切っていきたいと思います。どのジャンルがよいや悪いというお話ではないです。ライトノベルも大人も読む出会ったり、一般文芸も子供も読むであったり、そういうお話ではありません。その点をご了承下さい。あくまで私個人のお話と体感です。

ジャンルの境界線

 これは非常に難しいと思うのですが、先日SNSでお話ししていた際、ある方が仰って下さいました。曰く、
主題とターゲット層
 これは、ライト文芸とはなにかというやりとりをしていた時に聞いたフレーズで、ジャンルわけ全般にいえることだと思いました。

 また、とある本に書いてあったのですが、時代小説の書き方の例で以下のようなものがありました。

・時代×ミステリー → 捕物帖
・時代×バトル → たとえば活劇や武士の活躍など
・時代×ホラー → あやかし等
・時代×料理
・時代×恋愛

 これは、時代小説をテーマにしていて、それを大ジャンルとし、サブテーマ・サブジャンルを、別のジャンルに設定している例だと思います。この時、ターゲット層時代小説好きになると思います。これは、

・ミステリー×時代
・ホラー×時代

 であれば、結果完成する内容が近しいサブジャンルだとしても、対象はミステリー好きやホラー好きに向けられているとなります。他にも、

・ボーイズラブ×ミステリー → バディ等
・ボーイズラブ×ファンタジー
・ボーイズラブ×現代

 など、男性同士の恋愛を主題+ジャンル、というように、この構図は多くのジャンルの説明に使える枠組みだと思います。ボーイズラブを挙げたのは、「恋愛」とすると、「恋愛ジャンル」というのは、非常に幅が広いように感じ、どのジャンルでもエッセンスとして入っていることが多いため、あえて土台が決定している恋愛の1ジャンルを例に挙げました。

 つまり「どの層」が読むのかで、一つジャンルの境界が定まるのだと思います。年齢に関しては、読書に境界はない――というのはおいておき、たとえば、「この年代で習っていない漢字を避けて、その年代向けに書く」と考えると、教科書に掲載されている文学作品にそういった傾向がありますので、なくはないと私は思います。

 また、実際に読む年齢層は別とし、統計上(マーケティング)、この年代の者が読む、そのため、その年代に向けて訴求力がある作品を書く、というのは、ありえると思います。

 よくジャンルの流行は繰り返すと言いますが、陰陽師は例で使われやすく感じるのですが、大人で何度もブームに触れている人と、初めて陰陽師を知る世代では、受け取り方が変わるのは間違いないと私は思います。即ち、「初めてそのモティーフを知る人向け」「そのモティーフは知っているがまた読みたい層」といった区分けが、「ライトノベル(10代対象)」「一般向け(全世代)」などにあるのかもしれません。

 また、読者層が高い世代というのがあって、「最近の流行の情報量があわない」というのも私はあると思います。これは、「異世界」というジャンルであれば、前情報や詰め込む情報が多く、また空想を土台にしているため、「実在しない世界を思い描くのが好きではない層」にはあまり人気が無く、そういった層は「あったかもしれない世界/あるかもしれない世界」として、現代や歴史・時代を好むのかと思います。

 これが、私の考えているジャンルの境界線となります。

私の書きたいジャンルとは何か?

 これは別段、これまでライトノベルなどを書いてきたのを一般向けに転向したい(ターゲット層を変更したい)というお話ではないです。また、ファンタジーを書いていたのを今後はホラーにしたいというお話とも違います。

 私は実を言えば、長いこと「○○×ファンタジー」のように、「特定のテーマ×サブジャンル」というジャンルでWeb投稿サイトなどに投稿していました。その時、当時は褒め言葉だと思い、多分仰って下さった方も褒め言葉だったと思う言葉が、一つ印象に残っております。

「水鳴(の別PN)作品は、単なる○○ではなくファンタジーが練られていて、そのファンタジー部分が凄く好き」

 というようなお言葉を頂きました(ありがとうございます)!
 実際嬉しかったのですが、今回ジャンルとはなにかを振り返るに当たり、ふと思いました。

 だけど主題は、○○で書いていたはずだ。
 即ち、○○部分が薄かった。テーマが寧ろファンタジーになっていた。

 というものです。つまり、

○○×ファンタジー

 ではなく

ファンタジー×○○

 となっていたのだと思います。私が書きたかったのは、○○だとずっと思っていたのですが、実は違った。私はファンタジーがあの時描きたかったのでは無いのか? こう考えたとき、その通りだと思いました。

 これが、私が自分の書きたいジャンルを考えるに至った背景です。

ジャンル決定の作業

 作業……というと事務的ですが、これが大きいことだと私は気がつきました。楽というと語弊があるのですが、たとえばジャンルが明示されている、新人賞(公募)であれば、逆にそのジャンルに適した内容の構想を練ることも出来ます。比重が同じくらいのテーマの場合は、オールジャンルの公募という選択肢もあります。それらを取り置き、今回は、「自分が書きたい者のジャンルはなんなのか?」に焦点を当てています。

 正直、分かりません

 実は幾度か、私はとあるプロの作家さんや編集さんにプロットを見て頂いた事もあるのですが、その時に「この作品のジャンルってなんですか?」と直接的に聞いたところ「オールジャンルの文芸向け」と返ってきました。作者も分からないのですから当然かも知れませんが、これは裏を返せば、私の作品には、明確な固定された主題がないという形です。

 それこそ、ストーリーのテーマ性の話であれば、「成長」や「友情」などがあったとしても、そもそもの物語の主題がなにかという話になった時に、二つの要素があったとして、私は○○×▼▼の場合、○も▼も同じ比重(=悪く言えばどちらも突き抜けていない)となります。この欠点は、特定のジャンルが好きな人を想定できないため訴求力が弱くなり、両方好きな方にとっては味が薄くなることです。弱りました。でも言い訳をすると、そういうお話が降ってきて思い浮かんでしまったのです(私は頭で考えるときと振ってくるときがあります)。

 ちなみに降ってくるという現象は、私は脳機能で説明可能だと思っているので、いつかその記事を書きたいと思います。

 私の場合ですが、こうである以上、書き終えてから主題を見いだすか、最初から主題が明確な公募や企画会議用プロットを見据えて書く方が向いているのかなと思いました。

向いていないジャンル

 これも、ミステリーが好きだがトリックが思いつかないというような話ではありません。好きだけど書けない、という意味では同じですが、僅かに言いたいことが異なります。これは、「そのジャンルを書いているつもりで、その実違う」という現象についてです。私の場合の、○○×ファンタジーです。私は、恐らく○○に向いていなかったのだと思います。

 この時、○○と切り離せないのが、
・世界観
・時代
・登場人物

 だと私は思っています。時代であれば、和風/江戸/武士のようなものです。ボーイズラブであれば、異世界/中世風/攻め&受けがいたとします。どちらでもファンタジーはかけると思いますが、ファンタジーは「魔法などの設定」が出てきます。私が書きたかったのは、というか、力を入れてしまったのは、この「設定」であり、○○に入る、時代やボーイズラブならば本来は、その世界で生きる人々の行動がみたいのだと思いますが、その行動を説明する際、設定の説明になっていたのかもしれません。そうであるならば、設定を生かしたお話を書くべきだったはずで、その設定が例えば時代やボーイズラブともあわなかったから主題が弱まったと私は思います。時代で説明すると、時代ジャンルなのに、江戸の和風世界の武士が主人公でそれが好きな層に書いているのに、突然ファミレスが出てきた(SFでもなんでもなく)というような状態だと思います。コレジャナイ感であり、この場合であれば、それこそ江戸時代にファミレス(一善飯屋ではなく)があったというSFなどにすべきだったのだろうと思います。これが向いていない例ではないでしょうか。要するに、トリックが思いつかないというのは、まだそのジャンル内の話ですが、私の場合は、根本的にジャンルを勘違いしていた、してしまうのが、向いていないジャンルのように思います。ボーイズラブならば、男性同士の恋愛が出てくるからボーイズラブに違いないし、それがテーマだと誤解するようなかたちです。

カテゴリーエラーとはなにか?

 上述の通り、テーマ(主題)とターゲット層を、自分では「ミステリが好きな人々」と決めているのに、「実際には大部分がロケットの設計の話」などの状態を指すと思います。

 これが難しくて、ライト文芸とはきっとこうだと考えたのに、私の考えはライト文芸ではなかった、というような状態が発生すると、それはカテゴリーエラーとなるのだと思います。これを明記してくれている公募の場合は、ある一定の目安となりますし、オールジャンルの募集なら気にしなくて良いのかもしれませんが、自分で思っているジャンルと違う場合は致命的だと思います。そして実際、これはよくあるように思います。

 たとえば、文体でもジャンルが変わると私は思います。あきらかに読みやすい文体や詩的な文体、装飾語が多い文体や、硬質な言い回しが多い文体など、それぞれの方向性で適したジャンルがあると思います。

 少女向けの男女の恋愛作品を出版しているレーベルに、男性同士の不倫小説を投稿した場合、たしかにレーベルカラーとターゲット層は異なると考えられます。ただそれよりも、自分の書いているジャンルを自分で把握できていない=自分の小説の理解度が足りないのが、カテゴリーエラーの問題点の本質ではないかと私は思います。

レーベルカラーとは何か?

 これもまた難しいところです。そのレーベルでヒットしている作品と同じ物を追いかけるのも、そのレーベルに無かった新しいものを規定の範囲内で生み出すのも、まず作品を作る上では重要ですが、一定の方向性から逸れるとカテゴリーエラーとなるのは、上述で考えた通りです。

 私はこちらには、実は「世界観」「時代」「ジャンル」はあまり関係が無いと思っています。こちらに関係があるのは、
・登場人物
・ストーリーのテーマ性

 だと思っています。
 登場人物は、ターゲット層の年代に合致してることが多いのではないかと思います。感情移入のしやすさの問題もあるのかもしれません。ただこれは、年齢を経るごとに、自分よりも若い相手の登場人物も変わらず読む傾向にあると思います。重要なのは、ストーリーのテーマ性の方です。こちらは、レーベルで出している本の共通点、目には見えない部分だと思います。単純に、ジャンルの主題であるミステリや時代という部分ではなく、内容のテーマ性こそが、そのレーベルのカラーだと思います。よって、過去の受賞作や、出版されている作品は、読む方が良いと私は思っています。

 これまでにそのレーベルで無かった世界観や設定、登場人物であったとしても、既存作のテーマが「溺愛」であれば、斬新な設定の中で、溺愛され幸せになる主人公の状態が含まれている、レーベルカラーとはこういう印象です。この部分が、自分が想定しているものと違うと、それはレーベルカラーと違う、となると思います。

 あのレーベルは和風あやかしシンデレラを多数出しているからその設定で書こう、と言うのは、カテエラまっしぐらだと思います。その主人公達の成長や葛藤、結末の類似点を見いだすことが、レーベルカラーの研究となるのではないでしょうか。

 まぁそれができれば苦労はしないわけで、私には出来ません。

楽しく自由気ままに書く

 ジャンルなど考えず自由に楽しく書きたい。これは良いことだと私は思いますし、私もよくやります。頭から書いて勢いで完成することもあれば、断片的に書く事もあります。

 ここでジャンルを確認する上で大切なのは、自分が何を書いたのかを正確に知ることなんじゃ無いかなと思います。書き上がったものを振り返ると、そこには世界観や登場人物がいると思います。現代物で道を歩いているサラリーマンなら、現代という世界観でサラリーマンという登場人物で、道を歩いているという設定まであります。

 書き終わってからでも途中でも、一度振り返るのが大切なのかなと、ここ数日考えていて思いました。所謂書いてからプロットに起こすという作業がこれに近いと思います。

好きなジャンルとは?

 繰り返しになりますが、本当に見誤りがちです。書いてみて振り返ったり、本当に自分が書きたかったのはそれなのか、文章はどうなっているのかなどを、じっくりと確認したら、見えてくるのではないでしょうか。

向いているジャンルを書くこと

 見えてきたジャンルを、そのまま生かすのが、私は向いているジャンルを書くと言うことだと思っています。向いていなかった場合は、どうしても書きたいなら、ここで軌道修正を図るとよいのではないでしょうか。

 本当に、それができれば苦労しないのですが……。

おわりに

 これが、私のジャンル(など)についての考え方です。答えが全く出ないので、思考の整理を兼ねてnoteを書きました。ここまでご覧下さり、有難うございました!

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