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【詩のようなもの6編】 恋の仕方



【恋の仕方】

恋の仕方教えて下さい
選択肢は増えても選ぶ権利がないから
僕はとりあえず謙る

洒落込むことは出来なかった
先回りする気遣いも持ち得なかった
下品な絡みも高尚な誘いも怖かった

改札の流れに沿うような経験はなく
人のいない路地裏を下向いて歩く

悔しくはないのに劣等感だけ植えられて
一杯の酒で距離感は測れず
万能感を持つ人たちに差す嫌気

恋の仕方教えて下さい
一人で構わないけどそれに意味があるなら
僕はとりあえず顧みる

【根底の部分】

だらだら映画を見ていた
その時間に意味はないけど
ないと何かが弾けそうだった

お風呂に入らなきゃ
仕事の本を読まなきゃ
なんとなく楽観視しながら
甘いもの食べてネットショッピング

着てる服は重く感じて裸になってみる
ログインしてたアプリは消去してみる

根底の部分には気づいているけど
ベットに潜り込んで過眠

誰にも言えない 
言いたくないこの時間
気づけば丸一日何もしないで過ぎる休日

【ダンボールの中】

今更の話 ダンボールの中
消えたわけじゃないけど
一旦仕舞いたかった鬱憤

そのまま忘れていきたい
そう願えば願うほど突如として出現
生きるって恐ろしい…と
過去が積もるほどダンボールも増える

海に行けば消えると思ってた
勿論そんな簡単じゃなかった
だからダンボールの数を増量

これからの話 ダンボールの中
陽に当てた後の布団のような優しい匂いを
集めて仕舞っていきたい

【悪行】

悪行にも思える昼からのビール
誕生日でもない日のホールケーキ
気の向くままに君と

テレビ越しに見る花火大会
電話越しに告げる夏の終わり

ブランディング マウンティング
そんな言葉とは縁遠いモラトリアム

好きだったものが全て過去になり
また新しい自分がぼんやり浮かび
自分でも気づいてない部分が
緩やかにグラデーション

君の目には情けなく見えているだろう
今の自分が妙に清々しく感じている
今日この頃

【勘案】

心根に沁みるエピソード
一つでも多く…いつも探してる

考えて動いたつもりでも
実際は失敗談ばかり増えていく

人の恥ずかしい話は興味ないのに
自分の恥ずかしい話に痛み
その痛みを覚えてることにまた痛み
考え続ける日々

深夜に聴くピアノ曲に合わせて
脳内の雑音も流れていきながら
近すぎず遠すぎない場所に行きたいと
窓越しの青空を見つめてる

【フリフリ】

狂ったフリしてみれば何か生まれるかな

ズルい性格で尻尾を振り
優しい振る舞いで媚を売り
知ったフリで躱す現実

頭の中の消えない声を知らんぷり
まだ諦めきれない部分にしがみ付き
不利な生き方 曇り空が日常

悟ったフリしてみれば何か変わるかな




最後まで読んでくれてありがとうございました。

気が向いたら他の詩のようなものもぜひ。

水宮 青