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【詩のようなもの6編】 合縁孤円



【合縁孤円】

改めて思う
人それぞれ 
窓越しの景色
知らない夜もあっていい

泣いた朝
湿気強めの部屋の中
ビビットに響く空の音
分からないままでいる今

いつもの私たち
それぞれの場所
何も変わらない道
たまに孤独を重ね合うのもいい

みんな様々な顔を持ってるけど
それが全てじゃないから
いてくれてありがとう
改めてそう思う

【その希望的観測】

疑っちゃおうよ 
その悲観的観測

必要以上に空気読んでたら
こっちが息し辛くなるだけよ
楽に行こう

静かに揺れる水面
そこに写るいつもの自分
まだまだ遊び足りなさそう
そこから始まる第一歩

信じちゃおうよ 
その希望的観測

いつもの朝食に一品追加
寂しさは忘れなくていい
今日を渡ろう

【非常口】

自慢するような何かは
何一つ持ってない

強かな記録は時に流され紙屑へ
縋る星は彼方

傷も澱みも溜まるから探す
平坦で淡い日常の捌け口

一つでも多く増やす
エッジの効いた汲み取り口

年重ねながら永久に求める
息のしやすい非常口

【暗闇プロムナード】

現実逃避するなら
食って寝るのが一番
プライドは川に捨てて
無理難題は棚の上へ

正しさに飢える間も無く
誰も知らない陰日向の往来
終わらない徒情けの掛け合い
暗闇のプロムナード

【影繋ぎの詩】

秘めた孤独
いなしてかわして
綴っては分かち合い
回り続ける道の上
詩で繋ぐ

ルサンチマンもスワンプマンも
矛盾を抱えた問題は相変わらず
それでも生きていく
その為の詩でありたい

積もる孤独
言葉に変えて音に変えて
詩にしては分かち合い
歩き続ける道の上
影を繋ぐ

【春夏秋冬の茶番劇】

首振り続ける扇風機の横
夏の翳りを言葉に残し
一日千秋 心を込める

過ぎた冬 沸かす言葉
燃える 萌える 揺れる
始まる滴り 根に向かう

遠くの親類より近くの他人
大人になってから
そんな心地良さを知り
池の底にある煌めきを得る

損得で決めない核心
背伸びを繰り返す茶番劇
誰かが後からそれを
青春と言い換える春夏秋冬

積み重ねて立ち並んで
壊れた瓦礫の上を
また誰かが追いかけて
孤独の道を彩る春夏秋冬

最後は誰もが茶を淹れ
卓を囲み懐かしむ
遠い昔の茶番劇


最後まで読んでくれてありがとうございました。

気が向いたらまたぜひ読んでくれると嬉しいです。

水宮 青