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【ショートショート】ケーキが落ちても

起承転結の起の部分だけを書いたオチのないショートショートです。

勢い任せに書いたので粗い部分もあるかも知れませんがお手柔らかに見てくれると嬉しいです。

内容は完全フィクションです。

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【ケーキが落ちても】

「happy birthday!」

暗い部屋を照らす蝋燭の火、盛大な拍手とクラッカーが破裂する音で祝われているのは、今日が誕生日の岩倉さん。

大学の同期で、友達も多いからこうしてサプライズを行われている。
僕もその友達の一人だ。

岩倉さんは容姿端麗、才色兼備と周りからは言われているが、彼女自身はそれをあまり良しとしていない。
自分の好きなことに時間を使うタイプで着飾ったりもせず、僕から見れば自由人で奔放な性格。
更に甘いものには目がなく誕生日の日はケーキをホールごと食べるのが恒例となっている。
周りもそんなふうに見ているので岩倉さん用のホールケーキとみんなで分ける用のホールケーキが準備されていてテーブルの上も見栄えが豪華。

岩倉「キャーーッ!こんなでかいホールケーキ用意してくれたの!?みんなありがとぉー!」

大学生A「同期みんなでお祝いして楽しみたいからね!誕生日おめでとう岩倉さん!」

大学生B「岩倉さん用のホールケーキ食べて食べて!」

僕が気を利かせようとケーキを切り分けて小皿に移そうとした瞬間誰かが大きな声を出した。
僕はそれに驚いて思わずケーキを落としてしまった。

それに気づいた周りと岩倉さんは一瞬無言になってしまったがみんなで盛り上げて空気を戻した。

しかし会の終わりに、岩倉さんは誰にも気づかれないように、僕に呟くようにして囁いた。

岩倉「ケーキは落ちても...」

僕は岩倉さんの聞いたことない声色に驚き最後まで聞いていなかった。
目の笑っていない岩倉さんは別人のような面持ちで繰り返すように囁いた。

岩倉「ケーキは落ちても...」

周りは誰も聞いていない。
盛り上げることに懸命で岩倉さんの表情は誰も見ていなかった。
僕は岩倉さんが何と言ったのか聞けないまま
誕生日会は終わった。

翌日衝撃の連絡が回った。
岩倉さんが死んだ。

僕の頭は思考停止して何も手につかなかった。何故。
反芻する頭に響く岩倉さんの言葉。

岩倉「ケーキは落ちても」







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読んでくれてありがとうございました。

完結することはないのでこの先は自由に想像してみてください。

練習のつもりで書いたので読みづらいところもあると思いますがオチを考えなくていいので15分くらいでスラスラ書けて楽しかったです。

ありがとうございました。

水宮 青