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【詩のようなもの6編】 個々の遠回り


【個々の遠回り】

孤独って悪じゃないよね?
社会の仕組みに即してないだけで

コーヒー一杯 本一冊 窓に射す陽
最低限のそれらで孤独は過ごせる

とはいっても飲み終えて読み終えて
夜になれば辛くも寂しくもあり
半日前の自分を恨みたくもなり
その性格は誰かと過ごすには適していないから
喚く自意識を抑え込むため
夢中になれた一節を呟き

残る足跡 
慕わしい残影
暮れる心 
探す置きどころ
リフレインする日常

割に合わないと思いながら
もう少し遠回りしていく

【晩春の夢】

含みある言い方で別れて
環境の変化を人伝で知り
互いのタイミングを合わせるように
一足早く終わる春の始まり

無駄のない生き様を求めて
権威を貪る獣に辟易しながら
その姿に近づく己の生き様

狂信的な慈愛に浸ること
いつ足下が崩れるのか
一寸先の闇が延々

許せない顔が浮かぶたび
それが光になるのか闇になるのか
一足早く逸れた未来の中で
再び出会う夢を見続けている

【連鎖の雨】

連鎖の雨
記憶を繋ぐ

連鎖の雨
露命を繋ぐ

連鎖の雨
世界の間合いを繋ぐ

【trendy】

違和感はずっとある
流行って廃れて僅かに残る
アイデンティティ

寂しさを埋めるドーパミン
当世風に添いディスカッション

端折り遠遊
意味を変えて跨いで
終わらない夢が悪夢になるトレンド

凸凹な枕詞が四方八方
本質を掴みきれない冗長とミーム

逸れた道を歩くための
しなやかな足腰が欲しいのに
今日も目が覚めた瞬間から
バズワードに引き寄せられている

【排気と廃棄】

俺たち何処へ行くんだ
地下深くの下水道のような場所から
流れに流されて

ある場所では家が燃えている
ある場所では雷鳴が響き続けている

俺たちの溜め息は排気ガス
冷笑に溶けることない有害な廃棄物
少なくとも時代に流されない可燃物

血だらけでも起き上がるダルマのように
遺物で埋め尽くされた夢の中を
今尚掻き分けて

魂の奥
まだ誰も気付いていない
小さな砂金のような宝物探しながら
灰色の下水道に流されている

【リダイレクトロマンス】

どの道も地獄
それを知らせる警句が並び
立ち止まらせ引き換えさせられ
新しい場所へ自動転送

真夜中の娯楽も人の熱次第で
追い求めてたロマンスは
よりリアルな世界へリダイレクト

誰にバトンを渡されたわけでもなく
溶け込んでいた世界の一端
橋を繋ぐように

一朝一夕のリダイレクトロマンス
一期一会のリダイレクトロマンス