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【ショートショート】パックンチョ

起承転結の起の部分だけを書いたオチのないショートショートです。

勢い任せに書いたので粗い部分もあるかも知れませんがお手柔らかに見てくれると嬉しいです。

内容は完全フィクションです。

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【パックンチョ】

「こっちこっち!」
高らかに伸びのある声で健斗は僕を呼んでいた。
健斗のこの後取る行動が分かっていたから僕は少し目を細めながら近寄る。

「パックンチョ!」
健斗は童顔におよそ似つかわしくない大きな掌で僕の顔を正面から包むように掴んでそう言ってくるのがここ数日の挨拶になっているからである。

嫌といえば嫌なのだが、それを言う前に彼がすぐさま僕の心を掴むように
僕等が追っているUMAの話を間髪入れず始めてしまうからタイミングをいつも逃すのが理由ということ。

UMAといえばネッシーやツチノコ、はたまたエイリアンなどを指すのかもしれないが僕等が言うUMAとは、ある人間のことを指している。

健斗「今日は雨なのに傘じゃなくて皿を頭につけてリュックを逆さまに背負ってたぜ」

僕「はぁ?(笑)全く持って理解できないな

健斗「昨日は折り紙の鶴を両肩に乗せてムーンウォークしてたもんな

僕「あの人に出会ってからもう1ヶ月経つのにまともなところがないな

健斗「衝撃的だったもんなー。初めて会った時は、パックンチョ!パックンチョ!って言いながら掌パクパクさせてうさぎ跳びしてたからな

僕「かと思えば、いきなり僕等に近寄って一円玉を渡してきて僕に受験頑張れって言ってくるし

健斗「何でお前が受験するって知ってたのか、そもそも俺らのこと知ってるのかと思って聞いたら、全然知らないのに話しかけたとか言ってたし

僕等があの人に出会ったのが1ヶ月前、僕が受験する数日前である。それから街で見かけるようになり、そのたびに何かしら奇行を働いている。

僕等は興味本位で追うように跡をつけたり、時に声を掛けたり掛けられたり、常識的な会話は出来るはずなのにあの人のことが何一つ掴めずに1ヶ月が経ち今に至る。

僕は受験も終わり暇だったから暫くあの人について調べるのが最近の楽しみであり、健斗に至っては、あの人に出会った時の衝撃がよほど大きかったのか、口癖のようにパックンチョを真似始めてしまっている始末。

今日は雨の中、健斗が先にあの人を見つけ僕に連絡をくれて合流したところから僕の長い一日が始まる。






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読んでくれてありがとうございました。

完結することはないのでこの先は自由に想像してみてください。

練習のつもりで書いたので読みづらいところもあると思いますがオチを考えなくていいので15分くらいでスラスラ書けて楽しかったです。

ありがとうございました。

水宮 青