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【詩のようなもの6編】 狭間の未来図


【狭間の未来図】

色はまだ決めてない

狭間で擦れ合い
悩みを書いて書いて書いて
迷いを消して消して消して
肌に染み込む次の未来図を
新しい自分へ手渡しに行く

変わらない空へ差し色を携えて

【重ねるさよなら】

忘れていいよ
捨てちゃっていいよ
残念無念はまた明日
立つ鳥も跡を残さず濁さず
街は変わるよ
風は吹き続けるよ

【昼寝色】

朝の匂い
人の匂い
街の喧騒を聞き
昼寝をする雑な日曜日

僕も君も待ち侘びる夢見心地
寝ぼけ眼にしたたり落ちる夢と夢

飛び交い 撃ち合い 融け合いながら
夜を忘れさせる昼寝色の軌跡が僕らに降り注ぐ

【一直線の本音】

「本当は・・・」
どうでもいいことだし
とても大事なことでもある
その両方向が真逆の位置にある
なのに走る列車は一方向に行きっぱなし
帰る手段がないまま見失なう本音
音がしない老いに狭まれて
選んだ道の正当化へ今日もひた走る

【停頓】

繰り返す過眠 僕は何も変わらない
外の世界だけ影が伸び続け
荒れた空に向かう煙が広がっている
誰の声も聞こえないまま
緩やかに背が曲がる
何処にも行けないまま
穏やかに狂い続けている
繰り返す過眠 僕は今日も変わらない

【アイスのような空谷】

無一文から始める
日常の罠の回収

抗いたい気持ちが持つ手を熱くしていたから
溶けたアイスのように未来が崩れていく

一歩歩み出して
穴に落っこちて
一歩下がって
夢が遠のいて

逃げたことで溶けるスピードが早まり
苛立ちがあったことで今日が縮まり
付けた傷と付けられた傷に絡まる心の根

一歩歩み出して
穴に落っこちて
一歩下がって
夢が遠のいて

無一文から始まる
日常の罠の回収