334(さみしい)

 夜中、Twitterのタイムラインのオタクたちが突然「334」と呟き出すのが不思議でならなかった。それがネットスラングであると気付くのには時間がかかったのだが、一斉に同じ言葉をツイートするオタクたちの姿は、どこか神秘的でさえあった。言うなれば、真夏の蝉の合唱。狼の遠吠え。
 俺は実際にネットスラングであることをニコニコ大百科で突き止めるまでは、色々考察してみた。「334」とは、もしや「さみしい」を言い替えたものではないか?オタクたちは、よく自虐をする。実際はそんなことが無かったりするのだが、やれ彼女がいない、単位を落とした、などと、ありがちな事を言い出すのである。この「334」も、その自虐の文脈で捉えてみると、「さみしい」であるとみてほぼ間違いないかもしれない。
 途端に、オタクたちが酷く切ないものに見えた。そうなのだ。オタクたちは、夜な夜な深夜の3時34分に起きては、インターネットに「334」という言葉を放流する。タイムラインで自分の仲間たちが同じように「334」と呟くのをみて、彼らは何を感じるのだろうか。決して共感されない真っ暗闇の孤独の中、さぞかし船を導く灯台の光のように、それらは頼もしく見えることだろう。互いにカチカチと信号を呼応させては、船旅の無事を祈るのだろう。さながら、蝉の合唱。狼の遠吠えである。オタクたちに合掌。


 

↑先述したように後で判明したのだが、334は「2005年日本シリーズにおける、千葉ロッテマリーンズと阪神タイガースのそれぞれの総得点数のこと。阪神が未だに12球団最強のお笑い球団と称される要因の一つにして、なんJ以外でも通じる伝説のスコアである。」(なんJ用語集Wikiより)が由来であるらしい。阪神タイガースが33対4で負けたのだ。とんだお笑いネタである。


#なんJ #スラング #334 #Twitter #エッセイ #随筆

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