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てぃくる 856 迷路
迷路に踏み込んだようだと先行者に言われて、初めて自分が迷路の中にいることに気づいた。
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迷路の中にいると、そこから出なければならないという衝動に襲われる。しかし。その衝動をじっと堪えていれば、実は迷路というのが恐ろしい存在ではないとわかってくる。
全ての道には分岐点があり、分岐点の先は行き止まりであったり他の道につながっていたり……。道は、必ずしも我々を定められた方向に導く整然としたものではないのだ。
我々が迷路の中にいて、なんの不都合があるというのか。迷ってはいけないという強迫観念そのものが、我々にとっての迷路ではないのか。そんなことをつらつら考えながら、ゆっくりと迷路を歩く。
坦々と、歩き続ける。
糸玉は捨てて 冬の迷路を歩く
(2021-12-03)
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