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てぃくる

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長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。
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2023年3月の記事一覧

てぃくる 852 実証実験

「なあ、なんでこんなに大勢集まっているんだ?」 「実証実験が始まったらしいぜ」 「実証実…

水円 岳
1年前
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てぃくる 851 役立たずの歌

刻限を一秒でも過ぎると、役立たずと言われる 台詞を一文字でも間違えると 役立たずと言われ…

水円 岳
1年前
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てぃくる 850 咲けるときに咲く

「季節外れじゃないの?」 「ううん、季節って、考えたことない」 「ええー?」 「いつからが…

水円 岳
1年前
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てぃくる 849 青

 色というものは無数にある。それらは滑らかに連続し、特定の呼称に固定することができない。…

水円 岳
1年前
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てぃくる 848 怒りの葡萄

「怒りの葡萄はスタインベックだったっけ」 「そう。搾取するものと搾取されるものの対比を描…

水円 岳
1年前
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てぃくる 847 錯覚

 足元に何もなければ、奈落の底に落ちるように錯覚する。  だが、足下は変哲のないアスファ…

水円 岳
1年前
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てぃくる 846 あなたの子よっ!

 目の前に突然現れた女の口から「この子はあなたの子よっ! 認知して!」などと言われようものなら、世の中のほとんどの男性は立ち尽くしてしまうだろう。そういう事態に陥る覚えがあろうとなかろうとだ。  俺には一切身に覚えがないし、そもそも目の前の女を知らない。小柄な髪の短い女だが、確かに腕に赤子を抱いている。その赤子が、呼び名通りにひどく赤い。 「……」  俺がずっと黙っているのが気に障ったのだろう。女はきりきりとまなじりを吊り上げた。だが俺は女の目を見ず、赤子の整った顔と頬

てぃくる 845 絶対に負けないジャンケン

「ぐー、ちょき、ぱー。どれかがどれかに負けるってことだよな」 「当たり前だろ。そうしない…

水円 岳
1年前
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てぃくる 844 赤い絵の具を絞り出せ

「赤い絵の具を絞り出せ!」 「けちくさあ。新しいのを買ってこいよ」 「残っている色が大事…

水円 岳
1年前
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てぃくる 843 葦の呟き

 人は考える葦である  葦は考える人にはなれない  葦船になった葦は、そうなれなかった葦…

水円 岳
1年前
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てぃくる 842 やっと順番が来た

 きのこには好き勝手に生えているイメージがありますが、実は発生に順序があります。  わた…

水円 岳
1年前
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てぃくる 841 きれいごとでは生きていけない

確かに 美しい方がいいのでしょう ちやほやするものが大勢いて 彼らに傅いてもらえるのがいい…

水円 岳
1年前
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