最近好まれる絵本…赤ちゃん絵本
キラキラ☆ピカピカ
ふわふわもこもこ
ころりんぱ
しましまぐるぐるぐる
これらのオノマトペは全て最近人気のある赤ちゃん向け絵本のタイトルです。
どんな絵本なのかというと
◯表紙も本文も目がキラキラなホログラム印刷の絵本
◯一部が毛糸のようなフワフワな肌触りの特殊な素材でできた絵本
◯厚紙仕様のページに溝があり、そこに仕込まれている輪っかに指を入れて動かして遊ぶ絵本
◯全てのページが赤や黄色や白黒の原色のしましま模様で描かれている絵本
絵本の中でも特に赤ちゃん絵本は、保護者が❝読んであげる❞ことが前提です。
そのため、通常の絵本に比べるとその時々の保護者の方の考え方や好みが反映されやすいジャンルでもあります。
例えば、上記の4タイトルの赤ちゃん絵本は
タイトルが名詞等の単語ではなく、オノマトペであるという点で、「今時」の保護者の五感に訴えかけるものがあるのかもしれません。
そして、これらの絵本はより目立つので売場で目を引き、平積みしていると見本を手に取るお客様がとても多いのが特徴です。
絵本全体がキラキラ光っていたり、ふわふわして触って気持ちよかったり、絵本を動かして遊べたり、赤ちゃんが反応しやすい色や形を使っていたり…
一言でいうと「視覚·触覚効果が高い絵本」です。
一連の言葉より音の繰り返しを好んだり、より強い視覚効果に惹かれたり、これらの傾向は、月並みですが今の若い保護者の方々が以前の保護者よりも圧倒的に動画に慣れ親しんでいる世代である事とも無関係ではないように思います。
また、今の忙しい保護者の方にとっては上記の様な絵本はコスパ·タイパに優れた絵本として好まれている印象もあります。
パット見て分かりやすく、触れたり動かせたりすれば、赤ちゃんは単純に喜んでくれるでしょう。
この事は一概に悪いことであるとは私は思っていません。
若い世代の保護者の方たちに向けたこれまでになかった絵本が生まれる契機にもなります。
また、視覚効果の高い絵本は赤ちゃんの知能に直接働きかけるような効果も報告されているらしく、大学教授が監修されているような類似絵本も最近は多数出版されています。
保護者の好みにも合致し、赤ちゃんへの教育効果も高いこのような絵本は、これからもますます売り場でも増えていくような予感がします。
一方で、個人的には古くから人気のある定番絵本の良さも是非伝えていきたいなとの強い思いもあります。
赤ちゃんと一緒に歌ったりあそんだりする「歌絵本や手遊び絵本」、定番の「いないいないばあ」絵本、めくって遊ぶような「フラップ絵本」、そして数多くの物語のある絵本などなど。歌ったり、物語を読み聞かせたり、手遊びをしたり、のんびりとゆっくりと絵本と一緒に過ごす楽しさはかけがえのないものです。
一見華やかでパット見て面白かったり、知能の発達に役立つような赤ちゃん絵本を与えているだけでは、
ゆっくりと育まれるはずの大切な感情面の成長が疎かにされているような気がしてなりません。
一見コスパは悪そうだけれど、時間と手間をかけて一瞬しかない赤ちゃん時間を慈しんで過ごせるような絵本の良さも知ってもらいたい。
赤ちゃんとの時間を楽しく過ごすために絵本はあります。
両者を一緒に選んで、赤ちゃん育てを楽しんでほしいなと、絵本担当として思っています。