Kawara Senbee

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》7

     七、  春、新芽の如くねきねきと諸々の思い生まれ出ずるを、いささか退きて他人事の如く眺め居れば、そもまた一興ならむ。  2019/04/18 18:14   叶えては…

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10か月前
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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》6

     六、  かく年経るあいなかも幾度かこの島々をわたり歩き、その先々にていくつか胸ふたがるる景色に至れることこれあり。  何考えるともなくしばし当て淡く行…

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11か月前
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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》5

     五、  電網世界の幼年期よりの住人なればこそ、我幾たびかそしあるねっとわーくに要らぬほむらのあちこち立つを見ゆ。  夜郎自大とはまさにかかるものにて、…

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11か月前
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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》4

     四、  今より七十余年ばかり昔、吾が住まい傍に流るる川の十里ばかり遡りたる山あひに、母方の祖父ら居ましき。  後添いの祖母険しき人にて、母ら異母の子女…

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1年前
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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》3

     三、  この冬いと寒くあれば暖をとるもストーブの火力及ばず寝覚めの床の吐く息なを白し。  火力とは言いじゃうむしろ非力なり。  2018/12/29 22:07   …

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1年前
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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》2

     二、  嘯くに飽き足らず、さらなる法螺の生ずるを待つも日は待たず。  心中茫漠たるままいささか開き直りて詠む。 2018/12/20 01:17   君の事はもう忘れ…

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1年前

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》

 年ふりて傍目落ち着きたる様なれど、そはただ体力の衰微によるものにて、実はさして人となりの成熟に伴うものにてはあらず。  情感志操は未だ年端もいかぬ餓鬼郎党のま…

Kawara Senbee
1年前
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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》7

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》7

     七、

 春、新芽の如くねきねきと諸々の思い生まれ出ずるを、いささか退きて他人事の如く眺め居れば、そもまた一興ならむ。

 2019/04/18 18:14

  叶えてはまた新しき夢を見て望み果てぬは良きか悪きか

 2019/04/18 18:22

  桜枝の青葉の繁り溌剌と
  花散る記憶無きが如くに

 いじられし後輩「だうせ僕なんか文芸部のペットですよ・・・」
 いじりし先輩

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》6

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》6

     六、

 かく年経るあいなかも幾度かこの島々をわたり歩き、その先々にていくつか胸ふたがるる景色に至れることこれあり。
 何考えるともなくしばし当て淡く行きつれば、何得るとなく疲弊して帰り着くもいかでか愚かなるにやあらむ。

 2019/03/28 21:29

  日本海に来てみたけれど
  我が定め
  無論反転されるでもなく

 西の海に日の落ちて春の宵未だ寒し。
 絶対的無力を嘆ず

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》5

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》5

     五、

 電網世界の幼年期よりの住人なればこそ、我幾たびかそしあるねっとわーくに要らぬほむらのあちこち立つを見ゆ。
 夜郎自大とはまさにかかるものにて、げに組しにくし。

 2019/02/28 17:52

  花や鳥
  風や月など詠みおれば
  人の怨みも買うまいものを

 2019/02/28 18:03

  花枯れし|伽藍<ぐゎ
  天平の仏の笑みに
  ひとり滂沱す

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》4

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》4

     四、

 今より七十余年ばかり昔、吾が住まい傍に流るる川の十里ばかり遡りたる山あひに、母方の祖父ら居ましき。
 後添いの祖母険しき人にて、母ら異母の子女、女中にも比す労苦受けたるにやと。慮るほか術無し。
 もとより母は語らず、時に遠き山背に目を向けしまま郭公の声聞きおれり。

 2019/01/06 12:04

  その昔母を運んだ
  林鉄の線路も今は田畑に消えて

 2019/01

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》3

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》3

     三、

 この冬いと寒くあれば暖をとるもストーブの火力及ばず寝覚めの床の吐く息なを白し。
 火力とは言いじゃうむしろ非力なり。

 2018/12/29 22:07

  凍てる朝も霜降る小屋の外に出て
  生きてある奇跡白い火燃やす

 2018/12/30 00:33

  海は波
  街場は時に背を押され
  よれつまろびつ生きるほか無し

 されどまた生きるとは、なほ飽かざる性な

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》2

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》2

     二、

 嘯くに飽き足らず、さらなる法螺の生ずるを待つも日は待たず。
 心中茫漠たるままいささか開き直りて詠む。

2018/12/20 01:17

  君の事はもう忘れたのだ
  僕はただ
  雪降る音を聞いていたのだ

 虚無へと詩想は転向。

 2018/12/22 21:54

  冬至りて
  風に萎れし病葉の
  胸かき抱き昇天を待つ

 さらには一旦同族の軛を離れ、さる上

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摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》

摘花如歌無選集《はなつまみてうたうごとくたれながし》

 年ふりて傍目落ち着きたる様なれど、そはただ体力の衰微によるものにて、実はさして人となりの成熟に伴うものにてはあらず。
 情感志操は未だ年端もいかぬ餓鬼郎党のまま、その溌溂に老いたる血肉の付き従わず、ただただ懊悩するばかりなれば、敢えてその懊悩を古の言の葉の律に綴り合わせ、嘆息の代わりとするも一興なりとて、二とせばかり詠み浸る。
 その数、二百を超ゆ。只管暇に任せて思うまま詠みしものゆえ整理もおぼ

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