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田口ランディ『ハーモニーの幸せ』を読んで 『恋愛の力』

基本的に男性は女性より恋愛力がないと思う。

著者は、「恋愛というものへの認識が男と女とでは全然違うのだ」と言う。それを「コミュニケーションスキルに落差がありすぎる」ためだと説明する。

仕事に関してはいろいろな駆け引きを行っている男性が、こと恋愛に関しては全然ダメなのだ。少し長いが、このエッセイの一部を紹介する。

「恋愛をしている男は常に本気であると思っていい。彼らは常に本気で『あんたなんか大きらい!』という女の愛のアッパーカットに、必要以上にガーンと傷ついて、ああもうこれは何を言っても無駄だと思い身を引いてしまう。そしてさらに『なんでそんなに簡単に身を引くのよ、私のこと愛していないわけ!?』とまたしてもカウンターパンチを喰らい、『いったい何がどうなってるのかわかんねええ!』と酔っ払って暴れて、『オレはおまえが好きだ〜!』とヤケクソに絶叫してやっと女に『それを早く言いなさい』と許してもらうような、不器用な存在なのである。」

納得するしかない。男性が女性を理解するのは無理だということを、女の側もわかってほしいとつい願ってしまう。

ヨットレースの取材でギリシャのエーゲ海へ行った著者は、そこでギリシャ人の男性に恋をする。子どもを産んで、もう恋愛は卒業したと思っていたのに。

それにしても、お相手のギリシャ人が素晴らしい。肩を抱かれたとき、「彼は自分の体重とか力とかを絶対に預けない」し、子持ちのオバサンだと思っており、まわりのキレイなギリシャの女性にひるんでいた著者に対して、「人生は短いんだよ。自分のもっていないものを欲しがっていたら終わってしまう。自分がもっている良いところだけを見つめて、それを磨いて生きていけ」と言う。スマートである。コミュニケーション力も高い。日本人の男性は見習わなければいけないと思う。(私だけかもしれないが。)

10日間の恋も終わり、日本に帰国した著者は、「恋をするという祭りはすごい。少なくとも私に力を与えてくれる」と語る。

人間は一人では生きていけない。一人で歩む人生よりもパートナーと過ごす人生のほうが、確実に総合点は高いだろう。(60歳手前で独身だからそう思うのかも。)

とにかく年を取っても恋愛をしていたほうが元気でいられることだけは間違いないだろう。

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