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古い時計台の伝説(超短編小説)

その町には古い時計台があった。
時計台は壁が崩れ、鉄筋がむき出しになっていた。その四方は立入禁止の柵で囲まれている。
取り壊されない理由は、時計台には神がいて、大きな災難がやってきたとき神が救ってくれるという言い伝えがあるから。

ある日、その町を大地震が襲った。
時計台は崩れ落ち、長針が地面に突き刺さった。その途端に大地震は治まった。

長針は今、あなたの町の博物館に静かに納められている。
次の大きな災難がやってくるのを、長針は待ち望んでいる。

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