明日あしたの雨の色/深月水月

文字を食べて文字を吐く人/2.5も二次創作も好きなもの全部つめこむ、ごっちゃ箱/

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最近の記事

ひとつ、骨を取り出して。ひとつ、灰の上におく。それで終いにする。空になった胸のまんなかに、ひかり、しらじらと明けてゆく冬が、沁みて、ああ、ようやく私は水際になる。打ち寄せては手放す繰り返しの、その狭間に。

    • 冬を生きている。 それは過ぎてしまった春を生きていることでもあり、未だない春を生きている事でもある、と思う。 過ぎてしまった日々を、人々を生きている。明日を思いながら。

      • 年末に申請してようやく公式からコードが届き、bluesky始めました。 Xの騒しさが別世界のような静かな空。300文字呟けるのは良いです。 ぼちぼち詩片やwonderの感想など呟やき始めてます。あちらの空で会えたらよろしくお願いします。

        • 目で見ると美しいのに、写真に撮るとがっかりする。人が見ると言う行為はかように恣意的なものであるとつくづく思う。人は見たい真実を見る。世界に、自分の人生に。 「うつくしいのは、世界をうつくしいと見る人という存在なのです」 闇すらも物語にして、人は。

        ひとつ、骨を取り出して。ひとつ、灰の上におく。それで終いにする。空になった胸のまんなかに、ひかり、しらじらと明けてゆく冬が、沁みて、ああ、ようやく私は水際になる。打ち寄せては手放す繰り返しの、その狭間に。

        • 冬を生きている。 それは過ぎてしまった春を生きていることでもあり、未だない春を生きている事でもある、と思う。 過ぎてしまった日々を、人々を生きている。明日を思いながら。

        • 年末に申請してようやく公式からコードが届き、bluesky始めました。 Xの騒しさが別世界のような静かな空。300文字呟けるのは良いです。 ぼちぼち詩片やwonderの感想など呟やき始めてます。あちらの空で会えたらよろしくお願いします。

        • 目で見ると美しいのに、写真に撮るとがっかりする。人が見ると言う行為はかように恣意的なものであるとつくづく思う。人は見たい真実を見る。世界に、自分の人生に。 「うつくしいのは、世界をうつくしいと見る人という存在なのです」 闇すらも物語にして、人は。

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        • 二次創作/短歌
          10本
        • 詩/明日あしたの雨の色
          11本
        • poetry / 言葉遊びのように
          11本
        • 刀ミュ感想おきば
          7本
        • 本棚の航路~物語の海へ
          2本

        記事

          わたしのために 用意されている、ひなたの椅子 まるい背に花はふりそそぎ ──まだ、まあだ、だよ 見覚えのあるいくつもの骨が しろく手招きをして いつか行くのだろう私も ──ま、だ 木陰におもく脱ぎ棄てられた 靴に水はそそがれ 見ることもなく私も 数多の陰のひとつとして

          わたしのために 用意されている、ひなたの椅子 まるい背に花はふりそそぎ ──まだ、まあだ、だよ 見覚えのあるいくつもの骨が しろく手招きをして いつか行くのだろう私も ──ま、だ 木陰におもく脱ぎ棄てられた 靴に水はそそがれ 見ることもなく私も 数多の陰のひとつとして

          眠れば今日という連続が終わってしまう。明日の私は今日の私ではなく、今日の私に明日の私を知る術はない。ここにあるのは「今この瞬間」という永遠だけだ。

          眠れば今日という連続が終わってしまう。明日の私は今日の私ではなく、今日の私に明日の私を知る術はない。ここにあるのは「今この瞬間」という永遠だけだ。

          【詩】重陽

          あしもとの影が濁りをうしなって 夏が終わった事に気づく わたしたちは手に入れる事ではなく うしなう事で思い知るいつも いつも そこに在ったものを 眠りにつくたびに 少しずつ澄んでゆくあなたの いのち、は何処にあるのだろう しろく清潔なひかりに満たされた場所で 目覚めるたびに 見知らぬ誰かになってゆくその人は 抱きしめてとさしのべた手を 振りほどいたあなた 許してとうずくまる子を つきはなしたあなた 家族という文字を こばみつづけたあなた、ではなく 慈母のようなまなざしで

          【詩あそび七十二候】霜止出苗

          私たちを萎れさせたのは いつだって優しげな顔で 注がれるものではなかったか はるか天の高みから 与えられるのは 穢れのない正しさで 私たちは俯かなければならなかった たおやかな乙女の風情で    輝きをもてはやされるのは    空を許されたものたちだけ    地にあるものはうつむいて    影を作らなければならない    光が光であるために わたしたちは苗床である いいえ全てのわたしたちは苗床であると規定されている しかし空を飛ぶものたちがはじめに知るのは重力ではない

          【詩あそび七十二候】霜止出苗

          【詩】水深

          鉢の中で語り続ける魚たちは、 見えもしないものを覗き込むように眼を開き続けている。 ええそうね、わたくしたちはそういったもの。 ひれの艶めきもつくり出す泡のうつくしさも水底に沈殿してゆくはいせつぶつも語りつづけることによりわたくしたちになるのです。等しくわたくしたちがそのようなモノであることに異議を唱えたりなどいたしましょうか。 水面にはじける言葉は、ことほぎと呪詛とを孕みながら ポンプのモーター音と共に溢れつづけている 部屋の中はしらじらと日の光に染められ 濡れた床の上

          【詩あそび七十二候】葭始生(よしはじめてしょうず)

          胸のあたりに角ぐむ 葦が語るのは もうずっと昔に帰っていった 誰かの言葉 湿原をゆくのなら 恐れずにおいで 手放すことも 忘れられることも いつかの冬は 土の下に ねんごろに葬られ 空っぽの茎をつたって 水は溢れてゆく 水辺には 名も知らぬ鳥たちが 巣をかけるだろう 夏の光だけをたよりに 秋のかげりも知らずに うつろの身体に 満ちることなく過ぎゆく あまたの風 私のささやきは地に落ち いくつめかの春に芽吹くのだろう 誰かの大地に 角ぐむようにして

          【詩あそび七十二候】葭始生(よしはじめてしょうず)

          【詩あそび七十二候】虹始見(にじはじめてあらわる)

          「世界でいちばん寂しいのは、誰だと思う?」 一番さみしいのは、神様なんだよ 「神様なのに?」 そう、神様だから 何一つ欠けることがなく 何一つ知らぬことがなく 何一つほしいものが無く 誰かに埋めて欲しい寂しさも 感じたことが無くて ひとり はじまりもおわりもなく 神様は空の上で描き続けている 分かつための線 求めるためのひかりと ひかりが光であるための くらやみを どこにもいない自分自身、を 夢見る私たちのために

          【詩あそび七十二候】虹始見(にじはじめてあらわる)

          【詩あそび七十二候】鴻雁北~こうがんきたす

          なにひとつ 傷つける事などできなかった あなたはそこにあり わたしはここで一人 ──ひとり、  欠けることも満ちることもなく  あったのだ。  確かに、それらの日々は そして遠く歩んでゆく その先でまた 誰かのひかりに触れてゆく あなたも わたしも 春を懐かしむ眼差しを持ったまま (時には見えぬふりで目を閉じて──) 北のそらは冴え冴えと 語られなかった季節を湛えている

          【詩あそび七十二候】鴻雁北~こうがんきたす

          【詩あそび七十二候】玄鳥至─げんちょういたる

          文字一つ持たぬ手紙が 郵便受けに届く 綴ろうとしても影一つ 捕まえられえぬ罫線は 昨日、とか 明日、とやらの音調を 奏でてみよと やわらかな五線譜を象って ほら、そこここで 命は今を告げるのだ のど輪を朱く染めたまま その空に歌う鳥 言葉に成せぬあまたの景色を しるした翼に春はすぎ わたしもいつかは知るのだろう ただ飛んで行くその先に 手渡す季節のあることを

          【詩あそび七十二候】玄鳥至─げんちょういたる

          影踏みをしようよ 寂しい心が 消えてしまわぬように 影踏みをしよう 寂しい石を 握り締め かげふんだ かげふんで くろいかげふみ ぼくのこころは つきにてらされ おちている かげふんだ まっくらやみに かげふんで

          影踏みをしようよ 寂しい心が 消えてしまわぬように 影踏みをしよう 寂しい石を 握り締め かげふんだ かげふんで くろいかげふみ ぼくのこころは つきにてらされ おちている かげふんだ まっくらやみに かげふんで

          雨が降っていた 対岸で虹を呼ぶあなたは ひとつふたつ花を咲かせ うつむく私の蹄には 緑の苔が生えた ただ、それだけの事だった あなたを撃ち抜いた雨は 川辺に降り続け 思い出す事もあるだろう あなたという岸に あふれた水のことを 倒れた私の角に いつか芽吹くように

          雨が降っていた 対岸で虹を呼ぶあなたは ひとつふたつ花を咲かせ うつむく私の蹄には 緑の苔が生えた ただ、それだけの事だった あなたを撃ち抜いた雨は 川辺に降り続け 思い出す事もあるだろう あなたという岸に あふれた水のことを 倒れた私の角に いつか芽吹くように

          【詩あそび七十二候】雷乃発声~らいすなわちこえをはっす

          (鳴り響いていたそれは      始まりのその瞬間からずっと、ずっと) おしまい、が怖くて 母の布団に潜り込んだ 薄っぺらい母の身体は いつもあちら側を半分透けさせて 怖がることはないのだよ、 ぽきりと折った指は不思議に甘く 芽生えの季節はいつも 暗い甘さに満ちていた ──ああ、恐れることはないのだよ それは朝の台所で刻まれる 一かけらの人参のようなもの 切り口からはひかりが溢れだし ひとひら、ひとひら お前だって終わらせながら 生まれてきたのだ 眠り続けていれば夜は

          【詩あそび七十二候】雷乃発声~らいすなわちこえをはっす