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自粛が与えてくれたものの話。

緊急事態宣言が解除されて少し経ち、「外出自粛」という言葉もなんとなく懐かしい響きに感じるようになった。(適応が早すぎるだろうか?)

自粛期間、仕事はリモートワークがメインになったし、ゆっくりカフェに行くこともできなくなったし、新婚旅行も計画できないまま。noteにも日常の変化を綴り、しんどさを吐き出させてもらってきた。

でもあらためて振り返ってみるとこの「自粛」もしくは「おうち時間」が与えてくれたものも確かにあった気がするのだ。ずっと、コロナをプラスに受け止めるエネルギーなんてなかったけれど、今は少しその元気がありそうだから、今のうちに書いてしまいたい。

犬との時間

うちには今年16歳になるミニチュア・ダックスフンドがいる。もうずいぶんとおじいちゃんで、片目はほとんど見えていない。耳も遠くなった。

リモートワークになったことで週のほとんどを犬と一緒に過ごすことになった。一緒に暮らしている母と兄は、実質普段どおりの勤務スタイルだったから、二人きり(一人と一匹きり)で一日家にいる。

そうしてみると、今まで知らなかったことに気付く。おじいちゃんになった犬は母が出かけるときは後追いをするということ。でも出かけたらあっさり二度寝を始めるということ。一度寝たら揺すっても起きないということ。ただしわたしのお昼ごはんのタイミングにはしっかり起きておこぼれを待つということ。夕方母が仕事から戻る時間になると玄関で待機するということ。

朝の8時に家を出て、夜9時過ぎに帰ってくるような、バタバタとして、彼とゆっくり過ごす時間もなかった時には知らなかった。彼との時間は、きっともうそんなに長くない。今一緒に家にいられるのは幸せだ。


ウクレレ

この自粛期間中に楽器を始めた人は多いと思う。わたしももれなくその一人で、ウクレレを始めた。ギターより簡単らしい、というのが始めた動機だったのだけど、これがまぁ本当に簡単で、簡単なコード進行の曲なら一日で弾けるようになってしまう。

小さな本体の、細い弦をはじいて出る音は優しい。爪に引っかかる音も好きだ。ストロークも歌い方も、自由が大きい(きちんと学べばしっかりとしたルールはあるんだろうけど)。

何より、表現する術がひとつ増えたことは、わたしの自粛の時間を豊かにしてくれた。かつてはピアノを弾き、吹奏楽に熱中していたわたしだけど、「音楽を通じて表現をする」ということを初めて知ったような気がした。わたしにとっての音楽の定義が変わった。

まだ油断はできないとはいえ、形式的に自粛期間が終わり、元の生活に戻りつつある今。この時間に失ったものを、皆が取り返そうとしている今。早く元に戻りたいと思う一方で、この時間が与えてくれたものをまた手放してしまうのはあまりに惜しい。そんなふうに感じているのはきっとわたしだけじゃない。

足るを知る。あるもので足る。

ちょうどいい豊かさがある生活を探っていけたら。

なんて、都合のいいことを考えている。


おわり。


Day18.

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