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トンニャン最終章#30 後のこと

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「ミカエルルシファーの巻」の次、「後のことの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

魔界 とある湖
「結局、天使長のことは、思い出さずじまいだな」
「思い出さなくていいんだよ。思い出したって帰れるわけじゃない。私は、コーラのいる、この魔界も嫌いじゃない」
ブラックエンジェルは湖の岸に腰掛け、丸い月を見ている。彼女に話しかけたのは、ハエの魔王ベールゼブブだ。

「あんたこそ、アスタロトのこと、思いだしたんだろう?」
「・・・断片的だが、な」
「いいのかい?」
「何ができる?今まで魔界でアスタロトにしてきたこと。それに、二人がもとの世界に戻れるわけじゃない」
ベールゼブブも、ブラックエンジェルの横に座った。
「ふっ。どうにもならないのは、お互い様か」
 
 
人間界 とある泉
アシュラは、泉の水で身体を洗っていた。泉、姫といつも会っていた泉を思い出す。インドラと幸せになっているであろう、姫と。
 
「やはり、人間の住まいのシャワーには勝てないな。シャボンが欲しくなる」
何を言ってるんだ、人間みたいなこと。
「トンニャン」
振り返ったトンニャンの身体と、アシュラの身体が触れ合う。
 
「トンニャン?」
胸が透けている。
アシュラの手が、トンニャンの透き通った身体からすり抜ける。
なんだ?
 
「あぁ、実体化してなかったか。」
実体化?
「無いものは、本来実体化しない。そうだろう?」
「無いものって?」
 
トンニャン。
この世の始まる前から存在し、この世が終わる時も存在する。前の世も、後の世も、全てを見続ける者。男でも無く、女でも無く生を超越した存在。歴史に介入できない、その存在は、神話にも残らず誰の記憶にも残らない。

 
トンニャン、おまえは?おまえは本当に存在するのか?
「アシュラ、行くぞ」
トンニャンが空を翔ける。後を追うアシュラ。
いや、それでもいい。おまえが行くところに、俺も行く。
アシュラは、ふと微笑んだ。
    
 終わり~エピローグへ https://note.com/mizukiasuka/n/n1831ec050301?magazine_key=me347e21d7024
二〇一二年平成二四年七月十日(火)二十三時十九分

ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#30 後のこと

※トンニャンの長い長い物語はこれで終わりです。
この後、マガジン・トンニャン過去編「エピローグ」(短いラストシーン)

へと続き、本来のラストとなります。さらに、そのエピローグからトンニャン過去編「プロローグ(はじまり)」へ初めに戻り、繰り返す。となります。(#2~#4はトンニャン主役の別な物語)


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https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
姫のこと。インドラのこと。阿修羅のルーツがここに!!
ハヌマーン、ガネーシャ、シヴァ、ヴィシュヌ、インドの神々が登場する
「阿修羅王」収録

次回トンニャン エピローグ  へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n1831ec050301?magazine_key=me347e21d7024

前回トンニャン最終章#29 後のこと はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/ncc07d76ae634

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