見出し画像

トンニャン最終章#29 後のこと

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「ミカエルルシファーの巻」の次、「後のことの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

魔界 リオールの城
「ねぇ、リオール。あれからルシファー様とは?」
「会ってるよ。魔界の力の均衡が保たれるように、やることはたくさんあるからね」
「それから、あの・・・」
「クビドか?この頃、お互いに忙しくて時間が無いんだ。ほら、天上界では、人間界の洪水の後、人間達が生きていけるよう、わからないように知恵を授けたり、守ったりすることで、総出で忙しいようだ」
 

「そういえば、世界中の神々が、また人間に手を貸しているみたいね」
「この洪水で失われたものは多い。しかし、どんな災害に襲われても、諦めないのは人間のすごいところだな。また、世界中のあちこちで、神々や天使の伝説が生まれるんじゃないのか」
 
「あ、コーラ。今夜は視察に行く。母上のところにも寄って見ようと思う」
「リリス様の?」
「息子として、母親の心配するのは、あたりまえだろう。父上のところにも寄るよ。あぁ、アスタロトとサーティの城にも、時間があれば」
「わかったわ。遅くなるのね。」
 

たくましくなったわ。
コーラは、夫リオールの後ろ姿に、心が熱くなるのを感じていた。
ルシファー様は私の初恋の人。でも、今は私にはリオールしかいない。彼しか愛せない。
 
でも・・・。
「チェリー。いつか、私の父親のこと。話してよね。私、もっともっと強くなるわ。天使としても、悪魔としても。両方の力を自由自在に使える悪魔皇太子妃になるわ。そしたら、教えてよね」
 
遠く天上界で、ケルビム(智天使)として強く優しく働いているチェリーが見えるようだった。
 
 
 
魔界 アスタロトの城
「アスタロト、ローズティーが入ったわ」
サーティがアスタロトにお茶を入れている。
サーティは、洪水の後、あのリジュが渦に消えてしまった後、ルシファーが建てた自分の城には戻らず、アスタロトの城にいる。
 
 
あの時・・・
「どうして、リジュを助けなかったの?私なんて、誰からも愛されてない。生きてる価値なんて無いのに!」
「生きていて価値の無い者などいない。この命の限り生きよ」
「トンニャン・・・」
「もう、充分じゃないか。昔のことに縛られるのは。サーティも、アスタロトも、終わりにしたらいい」
 
 ********
「アスタロト、私、ずっとここにいてもいい?」
アスタロトはローズティーを飲みながら、白いバラの花束に一輪、赤いバラをそえてサーティに渡した。
「ずっと、そばにいてくれ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#29 後のこと

※「生きていて価値の無い者などいない。この命の限り生きよ」
「もう、充分じゃないか。昔のことに縛られるのは。サーティも、アスタロトも、終わりにしたらいい」

私の作品の中には、まるで予言をしたかのように、作品の一部が現実に追いつくことがある。あたりまえのようにトンニャンが言った言葉。
ほんとうは、今の私にこそ必要なのかもしれない。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

 次回トンニャン最終章#30 後のこと へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nbf253ee6c535

前回トンニャン最終章#28 後のこと はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n662c8fdfaf00

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182


もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)