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感情が生まれるメカニズムを把握することがコントロールの第一歩

人はどのように感情を生み出し自覚するのかは長年研究されてきた課題。

1880年代にジェームズ=ランゲ説が提唱されその反論として、
1920年代にキャノン=バード説というものが提唱された。

ジェームズ=ランゲ説は感情は外界の刺激に対する生理的反応で生まれる、
『人は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ』、
これは有名な言葉で一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

つまり、人は涙を流す、心拍数が変化する、筋肉が緊張する等の、
生理的な反応から感情を生むのだとしたのですね。

これに反論したキャノン=バード説は生理的反応を脳が受け取れない犬が、
それでも感情的な脳の動きを見せたことの事例をあげて、
先に感情的な脳の動きがきて生理的反応は後からくるとしたもの。

ただ、現代ではこの説は間違いだとされていて、
基本的には生理的な反応が感情を生むというのが、
感情を生むメカニズムを考えるうえで正しいと考えられている。

とはいえ、2つの説には共通しているある前提が存在する、
外界からの刺激への反応からある決まった感情は生まれるという前提です。

でも、この前提が正しいとすると説明できないことが1つあった、
同じ生理的反応であるにも関わらず自覚する感情の動きが違うという点。

例えば吊り橋効果ってありますよね。

高い吊り橋の上で男女が出会うと恐怖と恋愛感情を間違えて、
恋におちてしまう可能性が高まるという有名な心理実験です。

これってつまり恐怖と恋愛感情に共通する生理的反応、
心拍数の上昇とか筋肉の緊張などがあり、
それを誤認することによって感情を勘違いする。

これは外界からの刺激から決まった生理的反応や、
感情的な動きが生まれることが前提の、
2つの説では説明できないことだった。

この説明できない部分を補完し感情を生むメカニズムについて、
現状もっとも説得力ある説を生み出したのが心理学者、
スタンレー・シャクターの情動二要因理論です。

ざっくり説明すると感情とは外界からの刺激という一因と、
それを解釈する人の脳内、特に無意識による解釈の働きという一因。

この2つの要因によって感情は生まれ自覚される。

まず、外からの刺激によって何らかの生理的反応が生まれ、
それの反応を脳内で解釈することで感情になるのですね。

涙を流すという生理的反応を脳内がどう解釈するかによって、
悲しみになるか喜びになるか怒りになるかなどが変わるということ。

感情のきっかけは外界からの刺激ですが感情を自覚する心理の働きは、
純粋に人の内面によるものであるということです。

これは感情をコントロールするうえで大事なことを教えてくれる。

まず、自分が現状自覚している感情が何であるかの原因は、
最終的には全て自分(の主に無意識)にあるということ。

きっかけは外からの何らかの刺激であることは確かですが、
それをどのように感じるかは自分の脳の働きによるのです。

そしてもう1つ感情を主に定める無意識がどのように解釈するかは、
それまで積み上げてきた環境の影響やインプットした知識や情報、
実際の意思決定の傾向や経験などに左右されるということ。

無意識は自分では意識できないためどのようなシステムに沿って、
感情を定める傾向にあるかをその時点で自覚することはできない。

だけど、例えばある状況で怒ってしまう傾向が強いのであれば、
そういうシステムが無意識内に形作られていると考えられる、
そうなるようなものを積み上げてきたのだと予測できる。

であれば、それを改善するために別のものを意識的に積み上げることで、
無意識のシステムを自ら設計し感情をコントロールすることも可能。

と、ここまでいろいろお話してきましたがようは人の感情は、
そのメカニズムさえ自覚できるなら能動的にコントロールし、
自分が意識的に望むようなものに変えていけるということです。

なので、感情を自分でコントロールしていきたいのなら、
ぜひ以上のことは意識してみてほしいと思います。


では、今回はここまでです。
ありがとうございました。

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