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キャリア的視点259 -なぜキャリコンは国家資格になったのか-


毎日ブログ 259日目(2020/11/13)


キャリアコンサルタントが国家資格になった理由

先日より第15回国家資格キャリアコンサルタントの試験が行われてきました。今年は試験の形式が少し変わった様で、参加された方も困惑があったのかも知れません。
皆さん、大変お疲れ様でした。

私自身は国家資格になる前の、民間資格の内に取っていたために、国家資格棚からぼた餅的にGETしたのですが、最近は少しづつ難しくなっていますから、今私が受けたとして受かるのかどうか…^^;

という訳で、今更ながらなぜキャリアコンサルタントが国家資格になったのか、などをご紹介させてもらえれば、と思っています。


まずそもそもキャリアコンサルタントがなぜ国家資格になったのか。それだけを最初にお伝えしますと、ただ単純な事なんです。

現在の日本の社会に必要だから。

これ以上も、これ以下もありません。

キャリアコンサルタントだけではありません。
弁護士、医師、看護師、建築士、宅建士、税理士、会計士、司法書士、社労士、他にも数多くの国家資格がありますが、その全てが社会に必要だから国家資格として設置されているのです。

現在のキャリアコンサルタントは名称独占だけですが、対象は医師や弁護士と同じく全ての人達なのです。キャリアとは特別な誰かのためのものではありません

なぜ必要なのでしょうか?
実はこれは一度で良いから、実際にキャリアコンサルティングを受けてもらえれば9割以上の人が実感されています。残りの1割の方に関しては、最初からキャリコンの必要のない方達の内の一部の方です。
「キャリコンの必要のない方」の中でも多くは「新しい視点を見つけれた」「この仕事を始めた時の気持ちを思い出せた」等の声を聴きます。

日本のキャリアに対する取り組みは、世界的にみて30年遅れています。日本は先進国であると言われますが、キャリアに関しては確実に後進国です。後ろから数えた方が早いレベルです。
私も含め、少なくとも45歳以上の人たちは、学校教育でキャリアと言うものは教えられていません。正確にはもっともっと下だと思います。現在の学校教育ではキャリア教育が行われている為、良い様に思えるかもしれませんが、未だに「キャリア=職業」と考えている人も多いのが現状です。
これではまだ遅れを取り戻すのは大変な気がします。

私に言わせれば、日本は「軍隊を持たない」と宣言しているのに、キャリアや労働市場では、多く組織において未だに軍国主義なのです

そんな軍国主義から個人主義に変えていく為の一つの鍵としてキャリアコンサルタントが国家資格になったのです。


キャリコンが不要の人たち 

精神的に、キャリア的に自律している方には、キャリコンは無理に必要ではありません。経験すればしただけ多くの気付きがあるのですが、わざわざやらなくても良いかも知れません。

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この図を見ていただくとわかるのではないでしょうか。
人がメンタル的に下がってしまっている人に対しては、まずはキャリアカウンセリングを行います。行ってまずはゼロリセットをするのです。一定以上を越えて下がってしまった人は、専門の医療機関にリファーさせていただくこともあります。

ゼロリセットした後にコーチング・ティーチングなどでより高く、自分自身の力で上がっていくお手伝いをさせていただきます。大切なのは自分の力で、というのがポイントです。
そのほぼ全体をカバーしているのがキャリアコンサルティングです。
コンサルティングという以上は少なからず指導や提案などもすることはあるのでしょうが、最終的にはもちろんご自身で行動を決めて、行動を起こしてもらう事が大切です。

キャリア的に自律ができている人は、キャリアコンサルティングを受けなくても、自分で目標を持って選択肢を選んでいける人達です。しかしその人達も時には迷います。
迷った時に頼れる存在が時にはキャリアコンサルタントなのかも知れませんね。


企業におけるキャリコンの効果

こうしてキャリコンを必要としていない人たちも多いのです。そしてそれは得てして起業経営者などに多い様です。
自分でやりたい事をやる為に会社を起業している人達ですから、基本的にキャリア自律しているのです。

ただその人達にも理解しておいて欲しいことは、「自分が必要ないから他者も必要ない」訳ではない事です。残念ながら世の中には皆さんみたいに自律できている人ばかりではありません。また先述の様に、自律できている人でも迷う事は当たり前にあります。

私はキャリコンの目的は、多くの人に自律を促す事だと思っています。自律して主体性を手に入れて欲しいのです。
私がキャリコンを企業に紹介するのは、従業員(正社員だけではありません)に自律して主体性を持って欲しいのです。

よく主体性を持ったら会社を辞めてしまうんじゃないですか? と言う事を訊かれます。
答えは「半分正解、半分ハズレ」です。

正解の場合は、その従業員のキャリア的な目的・目標が御社のそれとズレている場合です。ズレている事自体も当たり前の事なのです。今はズレていなくても将来的にズレてしまうことも当たり前にあります。
主体性を持って辞めると言うなら、その時は応援して気持ちよく送り出してあげましょう。それによって御社は新しい取引先を手に入れることになります。
一回くらい引き留めるのはアリかも知れませんが、あまりしつこいと新しい取引先ではなく「悪い評判」を産む事にもなりかねません。人間心理とはそんなものです。

そしてハズレとはその逆です。
従業員の目的・目標と御社のそれがベクトルが同じ方向を得ていれば、御社は自律して主体性を持った戦力を手に入れる事になります。

主体性のない従業員は生産性も低いのです。
指示待ちだから言われていない仕事はやりたがりませんし、実際にやりません。経営的に言えば費用対効果が低いのです。

ある企業では、事務員さんの主体性が上がった結果、これまで暇でボーっとしていた時間に営業事務までやってくれる様になりました。この事務員さんは「仕事が暇で面白くないから辞めたい」と言っていた子達です。
営業事務をやってくれると言うことは、営業さんが勤務時間内外にわざわざ事務所に戻ってやっていた見積書や契約書の作成を、今いる事務員さんがやってくれるのです。これまで時間外勤務の多かった営業さんも早く帰れるようになって一石三鳥です。
それ以上ですね。新しい人を採用する事なく、会社の抱える問題が一つ解決したのです。一石五鳥ですか?
当然費用対効果が上がった事はわかりますね(^^)


キャリア≒人生

先述の通り、キャリコンの対象は全ての人達です。さすがに0歳~9歳前くらいは我々キャリコンがどうこうと言うこともないですが、親や環境により大きくその後に影響される意味ではやはり対象なのかも知れません。

約10歳の小学4年生頃から「1/2成人式」としてキャリア教育が始まります。学校によってはもう少し早いかも知れません。そして亡くなるまでキャリアは構築され続けていきます。

「キャリア=職業」だった時代は既に終わっています。新型コロナが流行してしまう数年前に既にキャリアコンサルタントは国家資格として開設しています。コロナは加速剤になったかもしれませんが原因ではありません。

現在は、日本型雇用システムが崩壊し、ジョブ型雇用制度を始めとする新しい時代への過渡期です。その新しい事態を担うのがプロティアン人材なのです。

皆さんは何のために仕事をしていますか?
生活のためですか? それは間違いなく働くことの一側面だと思います。その為に人生の多くの時間を費やしている訳です。
であるならば尚更、その時間を楽しく、そして愉しく在る為に、自分のキャリアは自分でコントロールしていった方が良い様に思えるのですが、どうでしょうか?

人には個人個人のペースがあります。同じ24時間でも使い方が異なります。
自分なりのスピード感で構いません。まずは自分の意志で進んでみませんか? その先には自律したあなたが待っているのです。
そのちょっと背中を押す、支える為にキャリアコンサルタントは国家資格になったのだと私は思います。

キャリアコンサルタントの要らない社会を目指します。
私が名刺に書いている言葉です。私の究極の目標です。



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個人の活性化を組織の活性化に繋げます。


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