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キャリア的視点229 -キャリアアンカー-


毎日ブログ 229日目(2020/10/14)

キャリアアンカーとは

キャリアアンカーというのは、キャリアコンサルタントなら養成講座で習う理論のひとつとして、知らない人はいない、という理論の一つです。

アメリカの心理学者であり、キャリア学の第一人者でもある『エドガー・H・シャイン』氏が提唱した理論です。シャイン氏は様々な理論を提唱しています。
その内のひとつ、『キャリアコーン』に関して書いた記事がこちらです。

今回テーマのキャリアアンカーとは、
【キャリアを考える上で譲れない軸となる価値観や考え方】
を指します。

みんなそれぞれ気付いていなくても、無意識の中で大切にしていることがあるものです。皆さんはどんな事を大切にしていますか?
今日は8つのキャリアアンカーを紹介しつつ、皆さんも自分はどうだろうか、と自身に置き換えて考えてもらいたいと思います。

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ちなみにキャリアアンカーのアンカーとは「錨(いかり)」の事で、船が停泊中に流れていかない様にするための重りです。どんなことがあっても、キャリアが流れていかない様になるための、動かないためのものという観点からつけられています。


8つのキャリアアンカー

まずキャリアアンカーというものは、生まれて最初から性格的に持っているものではありません。様々な経験を繰り返す中で、自分にとっての大切な物が明確になっていく中で絞り込まれるものです。ですから、新入社員の内はまだキャリアアンカーに該当するものがある人は非常に珍しいのです。10年くらい働いて少しずつ見えてくる、そんなところです。

専門・職能的コンピタンス
自分が得意としている専門分野や職能分野での能力発揮に満足感を覚える。
全般管理コンピタンス
組織内の責任ある地位に立ち、自分の努力によって組織の成功に貢献し、その結果高い収入を得ることに喜びを感じる。
自律・独立
組織の規則や手順、規範に束縛されない。自身のやり方、自身のペース、自分の納得する仕事の標準を優先する。
保障・安定
安全で確実、将来を予測でき、ゆったりとした気持ちで仕事をしたいという欲求を優先する。
起業家的創造性
自信で新しい組織、製品、サービスを生み出して新しい事業を起こし、存続させ、経済的に成功させたいと強く意識する。
奉仕・社会貢献
何らかの形で世の中をもっと良くしたいという欲求に基づいてキャリアを選択する。
純粋な挑戦
不可能と思えるような障害を克服する、解決不能と思われてきた問題を解決する、極めて手ごわい相手に勝つ事が成功。
生活様式
個人、家族、キャリアのニーズをうまく統合したい(単なるバランス以上のもの)。

冒頭にキャリアアンカーとは【キャリアを考える上で譲れない軸となる価値観や考え方】として書きましたが、個別の能力・動機・価値観に還元してしまうと全く意味をなさなくなると言われています。
つまりAさんのキャリアアンカーを考える際に、能力は「専門」、動機は「保障・安全」、価値観は「自律・独立」… と言うことはない、と言うことです。

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実際には8つのキャリアアンカーに分かれたとはいえ、私は100%このアンカーだと言える方は少ないと思います。実際に私の場合は、「奉仕・社会貢献」が強いのですが、自律・独立型のアンカーも持ち合わせていると思います。
その様に複数のキャリアアンカーを感じる場合は、最も強いと思うものから順に考えると良いでしょう。
皆さんはどうですか?


自分のキャリアアンカーを知る

もし皆さんがキャリアアンカーを考えていきたい時には次の3つの質問を考えてみてください。

①自分は何が得意なのか。(才能と能力)
②自分は本当は何をやりたいのか。(動機と欲求)
③何をやっている自分に、意味や価値を感じられるのか。(態度と価値)

例えば仕事の現場での自分を想像してみましょう。先の8つの何処に該当するのでしょうか。

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仕事で他社からスカウトされ、給与や肩書に釣られて転職した。しかしまったく楽しくない… どうしたら良いのか…

つまりこれはキャリアアンカーが高い収入を得ることに喜びを感じる「全般管理コンピタンス」ではなかったと言うことでしょう。キャリアアンカーに沿った仕事ではなくなってしまった可能性があります。

しかしキャリアアンカーが判っていれば、改めて仕事を探そうとする時には、アンカーに沿って自身のキャリアの本流に戻る事が容易になるのです。


仕事探しはキャリアアンカーに聞きましょう

日本の転職市場は未だに「これまでの経験からくるマッチング市場」です。転職者本人も「これまでこれをやってきたから、次も同じ様な…」という考え方で探すことが多いのが最も大きな理由なのです。別にそれを完全否定するつもりもありません。

しかし実は全ての会社が個人の資質を元に配属を決めている訳でもありません。
また先にも書いた通り、キャリアアンカーは10年ほど働いて見えてくるものです。これまでの経験とは別のアンカーが出る場合だってあるのです。

たかだか数年の経験だけで、これから何十年のキャリアを決めるマッチングは、可能性を啄む『もったいない』ことになるように思います。

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理想は自らの将来を見据えたキャリアアップのために「何が必要か」を求めて選択するのが良いのです。
が、そこまで言えなくても、『自分のキャリアアンカーを満たせる仕事』という観点で考える事ができると、新しい分野が開ていくのかも知れませんね。

実際に企業の人事課などでは、個人のキャリアアンカーに合わせた適職を考え、配置転換などを行うケースもあるようですよ(^^)

実際に自分のキャリアアンカーとはどれに該当するのか、考えてみてはどうでしょうか?


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