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無題9_息を消す

「 …っぅぁあぁ……」
口からこぼれた自己嫌悪の一小節を憎たらしいと睨んでみた。
進んでいない課題を一瞥もせずに皮肉な頭痛に顔をしかめながらキーボードを叩いて殴りがく。
小説、といえば聞こえはいい。
モノ語りの一つである。
いつか、本当に冷えた終わりを迎えることに対する謎すぎる疑問を救いとしか、見たくなかった。
この世界の中、何処かの霞んだ地にかかった何故かすすむことのない時計。
漠然とそんなものを思い浮かべて。
埃を被った妙に親近感のわく針が動くなら、どれほど、
と、考えてやめた。

これが、遺書の一節となる日を、いつ、ぼくは見据えることができるのであろうか。

いつもどおりに喉を締める空気。
逃れようと己が喉を突き刺したくなる。
いつもと変わらない。
泣けない今に泣きたくなる。
頭を地味にかち割りたい。
おなかが痛い。
胸が苦しく、
痛い。
これを鎮めるには自ら与える暴力しか手段はない。
そう。そーゆうもの。
爪を噛んだ。唇を噛んだ。腕を切った。
痛みを、刺激を覚えていたかった。
相も変わらず酸素は薄い。
「…んなぁことないのに、な……」
ぼくは変だ。
知っている。
でも変じゃないことも知っている。
変になりたかった、中途半端な存在。
許されることのなかった僕は偽りだと、
そうやって信じるための虚像。
そして、取り残された残像にしがみつく。
こんなの、
「死にたくならないほうが無理だ……」
なんだかどうでもいいようなことのように少し浅く呟く。
嫌いだ。どうしようもなく。
『生に縛られ生を嫌いながら、死にたくてそれを許さない本能が。
ぼくが。
すべてを上手くできないボクが、嫌い。』
書き出してみた自己嫌悪の本質が上記たった数十字の内容ばっかりなようで、もう、笑ってしまう。
一人分の椅子に体育座りをした。うずくまって、
小さく、このまま。消えることは、かなわない、のか。
「叶うはずはない」
声に出すほど現実味のあることはないな。
なんて、そうやって人ごとのように思おうと目を閉じる。
自嘲。
こういう時の空気は毒なのだと、昔からしっていた。
空気を吸い込みたくて、呼吸するんだ。
でも今は呼吸できない。
吸った空気は喉を焼き、咳き込んだ。
体の内の空気は熱く苦い味をまとっていて、一気に吐き出さないと、目には涙が溜まっていった。
もう体の中の空気はないのではないかな、と思うほど吐いて、
吐いて、
吐いて。
 そしたらぼくは酸素をもとめてしまう。
逃れられはい生の渇望が、喉を切り裂く願望を見ていて、もう、何がなんだかわからない。

何処から間違えたのか。

ずっと、永遠に延々とした円環の中それを考える。
すべて嘘?
なにが正解
ぼくは間違いなのだろうか?

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