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【小説】奔波の先に ライナーノート

1 「明治維新」編終了について

 木戸孝允が、西郷隆盛が亡くなり、大久保利通が殺された。そんな一つの時代の終わりの出来事と士族の反乱の西南戦争の終結で、明治維新期を終わりとするという説があるので、それに従うことにしました。
 井上馨との関係でいうと、西郷は廃藩置県で終わってしまった人なのかと思ったり。大久保とは、うまく組めたら、ウィンウィンの関係になれたのではとか考えました。共に目指すものは同じだったのに方法論の違いなのか、人間性の問題なのか、勿体ない関係だと思います。
 木戸孝允とはお互いに、時には面倒な人になったり、一緒に楽しんで、一緒に悩む、真の知己だったのでしょうね。その分こじれたりするのもよくあることかなと思い、親近感もわきました。
 馨はイギリスに行っても文を書き、品物を送っています。その一つに歯に悩む木戸に歯磨きか洗口液のようなものを、これを使うと気持ちいいですよって送るのがあって、なんか可愛いと思います。
 そして御するには馬からとでも言うのか、松子さんにこっちは面白いよと誘ってさえいます。
 伊藤博文も井上馨が木戸との関係を気にしているので、修復に努めていますね。この二人はスタンスは多少変わっても、木戸を疎んじるということはなかったと思います。そして、西郷、大久保、木戸から受け継ぎ、発展させて行くのが、これからの動きになるはずです。
 特に木戸が一生の事務といった立憲政体、憲法制定は井上馨が受け継いだように見えたけれど、伊藤博文にあずけていく。そんな思いの継承がどうしておきたのか疑問もあります。これからはその辺りがテーマになるのでしょう。

2 井上馨と伊藤博文

 これからは本当に「聞多と俊輔」になっていきます。幕末は3人党などと言われるますが、高杉晋作と組んでいるイメージ。維新期は木戸孝允と、そして、やっと第2世代が主役というところ。ただあまりにもこの二人、セットで動いていたため、ちょっとした問題が発生するとかしないとか。
 大隈重信と山縣有朋と黒田清隆、松方正義達のように友人なのかライバルなのか、という人達との関係も重要です。そして、渋沢栄一、益田孝等の民間との連携、豊かな国づくりはまだ一歩です。やるべきことをやって、後は後の世に任せるしかないのは、今の時代にも繋がることだと思います。

3 馨と武子


 
 一番気になったのは、武子さんとの結婚。脱隊騒動の骨組み書いていたときに、この二人数ヶ月後に結婚できるのか。という深刻な状態になっていました。
 木戸さんの日記で、明治3年8月には結婚している事になっている。その間に何回会ってるんだろうという疑問が。
 仕方なく、ほぼワンチャンスでまとめました。恋愛部分苦手なので良かったです。結構動きはトレースしているので、実際の二人もワンチャンだったのでしょうかね。
 恋愛といえば、青木周蔵とエリザベートの結婚話、正式な国際結婚第2号だったかなぁ。この二人の結婚が成立したとき、馨は「ベッドの上の日独戦羨ましいなぁ」と手紙を書いています。この手紙を「サムライ留学生の恋」と言う本が引用していて、どん引きされてます。これには続きがあって、「僕はこちらの女性とはまだ試していません」って妻子同道の遊学中だろうと言いたくなりますが、これが通常運転のお人なのです。

4 副題を変えます

 副題を「聞多と俊輔」から「井上馨と伊藤博文」と変えます。ふたりとも明治のはじめに名乗りを変えて、「聞多と俊輔」でもないかなと思います。
 ただ、会話では相変わらずの呼び方です。基本的に友達があだ名で呼ぶのが好きなので、この二人+山縣有朋には「聞多、俊輔、狂介」呼びをしてもらいます。権力の中心にいて、本当に目指すものは何なのか、何を得て、何を失うのか。自分でも到着点をまだ考えていないので、これから先どうなるかわかりません。

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