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旅、思い立ったが吉日。〜上高地編完結〜

午前十時。
太陽の温もりに包まれて、昼寝(厳密には朝寝)から目覚めた私は
ハイキング第二弾へと出発した。
次は上高地の右側にある明神池を巡るコース。往復で約130分の道程。

朝晩の冷え込みが嘘のように、太陽が気温をぐんぐん上昇させている。
しかし、湿度を感じないカラッとした暑さで、不快感はない。
あたり一面の鮮やかな緑と、梓川の透明なエメラルドブルー、そして北アルプスの山頂付近に残る雪の白。
目に飛び込んでくる初夏の色達が、爽やかな風とともに体中に染み渡る。

明神橋


出発から一時間程で、明神池到着。
なんでもこの明神池は、パワースポットで有名らしい。(到着して調べてから知った)
厳かで神聖な空気の漂う池に佇んで深呼吸していると、なんだか全身が浄化されていくような気がした。

河童橋の方まで戻ると、ちょうどお昼時ということもあってか観光客で賑わっていた。オフシーズンの平日でこれだから、夏場の土日なんかはきっと大変なことになるのだろうな・・・と想像して、この時期に来れたことを幸運に思った。
昼食にラーメンを、食後にりんごソフトクリームを食べて満足した私は、キャンプ場の浴場にて汗を流し、午後はゆっくり過ごすことにした。


ベンチに座ってただ何もせず、眼の前にそびえる北アルプスをボーッと眺めているだけで癒やされる。なんと贅沢な環境なのだろうと改めて思う。
せっかくなので持ってきていたミステリー小説をうとうとしながら読んでみたり、好きな音楽を聞いたり、ちょっとその辺を散歩したり。
普段日常生活でしているような、なんでもないことをしているだけなのに、体中にエネルギーが満ちていくような感じがした。


ただなんとなく選んだ旅先だったけれど、無意識レベルで今の自分に必要なものがすべて揃っているこの上高地に引き寄せられてきたのかもしれないな、と心のなかで思った。

ここまで来て本当に良かったなと上高地を歩きながら何度も思ったし、こうやって自分の直感に従って行きたいところに一人でふらっと行けてしまう行動力は、自分の好きなところの一つでもある。
一人旅を続けていると、本当に自分が好きなものがどんどん研ぎ澄まされて見えてくるような気がする。自分だけの思考と選択で出来上がる、私だけの旅。もちろん失敗することだってあるけど、それもまた旅の醍醐味。
私の人生に、旅は欠かせない。
新しい景色に出会うたびに、少しずつ成長と変化を遂げている、ような気がしている。まだまだ未熟者の私には、それが必要なのだ。

二日目の夜ご飯

失敗といえば、案の定二日目も凍えて眠れない夜を過ごした。
前日の反省を活かして、ウォーターキャリーに熱湯を入れて湯たんぽ代わりにしたり、売店で買い足したカイロを貼ったり、ウィンドブレーカーをフードまで被って頭部を保護したり、持ってきていたもので出来る限りのことはやり尽くしたが、駄目だった。
これで三日連続の寝不足。(初日のホテルは快適だったのにあまり眠れなかったのが悔やまれる)
それでも体を鼓舞して、三日目の朝も日の出と共にハイキングに出かけた私のタフさに、自分でも驚く。(寒すぎて、早く体を動かしたかったのもある)

防寒具さえあれば天体観測がしたかった
夜中にお手洗いへ行こうと外に出た時の星空が
あまりに綺麗で思わず立ち尽くした
朝日が昇る手前


そうして、昨日の朝一に訪れた田代湿原まで再度ハイキングに出かけ、その帰り道に猿の大群に遭遇。恐れていたクマには一度もお目にかかることはなかった(お目にかかっていたら、今頃ここにいないだろうけれど)。
キャンプ地に戻って売店で軽食を買って食べ、その後テントの撤収作業をして、朝九時台のバスで上高地に別れを告げた。


椅子とテーブル
猿たちが占領中
小梨平キャンプ場、最高でした



ありがとう、上高地。
必ずまた来ます。

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