見出し画像

小説「婚活ってゆうこの無理ゲーよ」レビュー

はあちゅう女史、祝!結婚!

気になるタイトルも後押しし、手に取ってみたら、はあちゅうの文字。名前は知っていたけれど、具体的に何をしている方なのかは実はよく知らなくて、これはいい機会、と早速読んでみた。結論からいって、彼女は才能の塊だ。

この小説は、それなりに恵まれている28歳女子3人が勝手に人生にギリギリ感を感じてバタバタするってゆう三十路クライシス物語である。

物語の登場人物は、IT企業広報の美香、ライターのかえで、旅行会社勤務の舞。唯一の既婚、現在第一子妊娠中の彩(ほぼラインでの登場のみ)、4人は現在28歳。大学の同級生である。

舞が、クリスマスまでに彼氏を作るための目標設定として、クリスマスイブにホテルのスイートルームを予約したということから彼女らの「クリスマスまでに彼氏を作る!」という婚活レースが始まる。

合コン(だいたいハズレ)、恋愛セミナー(うっかりはまっちゃう)、マッチングアプリ(イマドキ!)、出会い目的の習い事(料理教室とかね)、元カレとの再会(やっぱ落ち着く)、不倫(したりされたり…)。とひとしきりバタバタとしてみるのである。本人たちは必死なのだが、普通この年代の女子はこんなに充実している人ばかりではないし、これで共感を求められてもちょっと無理がある。あくまでもフィクション、エンタメだ。

合間に繰り広げられるガールズトーク、合コン反省会(という名の愚痴大会)、グループラインその名も“婚活三姉妹“でのマッチングアプリのスクショ共有、年収調査・共有、など世にも恐ろしい女子たちのリアルな生態が描かれていて、痛快だ。

男性諸君は想定外の下衆ぶりにちょっと女性不信になってしまうかもしれぬ。残念ながらフィクションだけど、ノンフィクションです。

「崖っぷちだよね、私たち」
まだまだまだこれからな28歳の彼女は言う。

そう、20代後半にもなると皆「30までに…(結婚、出産、転職…)」と呪文のように唱えだす。まるで30が人生の終わりでもあるかの如く。

三十路クライシスの季節はとうに過ぎ、私なんてすでに崖から落ちて久しい。一体いつ落ちたんだっけ。人生100年時代、30だって40だって崖から落ちてもまだまだ人生は続くのだけどね。

「どこに行っても、人生はそれぞれにつらいよ」
とりあえず彼氏がいれば結婚してれば人生オールオッケーなのか。ついそこに逃げたくなる女心、ひとり順風満帆、婚活レースを一段上から傍観していた彩に降りかかった災難は我々の固定概念に疑問を投げかける。

結局
「どこに行っても、人生はそれぞれにつらいよ」
皆それぞれに何かを抱えて生きている。

これから婚活しようと思っていて、ちょっとでも参考になったら、なんて考えているあなたにはおすすめしない。
その代わり、もう婚活に疲れ果てた、というあなたにとっては、きっと勇気をくれるのではないだろうか。
彼女らの婚活レースがどうなったか、はさておき(読んでね!)婚活レースを通じて本当の自分に向き合っていく4人。最後には「大人って意外と楽しいよね」とバタバタの末、前を向く彼女たち。成長してる!

彼女たちのように人生一生懸命なアナタに。

編集:円



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?