13年前オンライン英会話を売っていたあの会社の倒産秘話
(※写真は倒産当日、講師と店じまいをした直後のものです…!)
コロナ禍中、遅ればせながら我が社も社内会議をようやくZoomでやるようになった。
分割された画面に13年前の出来事が思い出される。
新卒で入った会社はテレビ電話を使っての「オンライン英会話」を売っていたので日常的に自社製品を使って「オンラインミーティング」をやっていた。今のようなZoomやSkypeではなくテレビの画面を利用して行うものではあったがそれにしたってなかなか先進的である。
CMで見ない日はないくらい一時は飛ぶ鳥を落とす勢いの同社ではあったが結局倒産してしまった。。
最後は1日の経費分の現金も残ってはおらず全国1000店舗を統括する本部スタッフはほぼ辞めてしまっており、数人しか在籍していなかったという。そんな状態だったので最後の数ヶ月はまさに悪夢だった。
私は地方の中規模スクールで働いていたのだが、日に日に統括本部の電話はつながりにくくなりイレギュラー対応の指示を仰げなくなった。幹部の離職も気になるようになった。
講師が突然辞めてしまいレッスンが用意できなくなることもざら。勝手に帰国してしまう講師もおり、予約していた生徒さん一人一人に電話をかけてキャンセルのお詫びをしたりしていた。そんな状態だから生徒さんの不信感も当然募り、解約したいとの申し出も急増していた。
解約の手続きをするものの資金難から返金が遅れており、待てど暮らせど返金がないとみなさん大激怒。それまでフレンドリーに接してくれていた優しい生徒さんたちが豹変する。
「お金返してもらうまで帰りません」
「あなた社員ならどっかから借金して返しなさいよ」
「お話録音して場合によっては訴えますね。じゃ、名前から名乗ってもらえますか」
などなど。
みんな数十万から百万という決して少額ではないレッスン料を人によってはローンを組み、一大決心して入学してくれた大事なお客様。
でも多分どんなに騒いだって怒鳴ったって多分この人たちにはお金返ってこないよなぁ。
だって私の給料もしばらく入ってないんだもん。
そう思いながらなんとか待ってもらうようお願いする心苦しさといったら。。
だからニュースで倒産が確定したときには、悔しい気持ちと苦しさからようやく解放されるのだという安堵感でぐったりしてしまった。涙も出なかった。
なんとか事態が好転することを願いながらもどこかでこの瞬間を切望していたんだ。
玉音放送で日本の敗戦を知らされた当時の日本人てこんな気持ちだったんではないかしら。
当時は新卒2年目となりようやく信頼してくれるようになった生徒さんや同僚、色んな人の期待を裏切りたくなくて、倒産するその時まで、もうろくにレッスン出来ないスクールを開け続けていた。それが自分の使命だと張り切っていたけど結局それって正しかったのかな。
この会社おかしいという気配に気づいたらとっとと去れば良かったのか。
それとも何か別の方法があったのか。
今でもずっと考えている。
編集:otaki
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