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東京ワンピースタワーの思い出

7/4、東京タワー内にあるワンピースのテーマパーク「東京ワンピースタワー(以下、TOPT)」の閉園のお知らせがネット上を駆け巡った。LINE登録していた私は、「いよいよ再開か!?」と胸をときめかせながら開いたが、そこに書いてあったのは「7/31で閉園します」という文字。頭の中が真っ白になり、胸の真ん中にぽっかり穴が空いたような感覚に陥った。

今日は、今月末にクローズとなってしまうTOPTとの思い出話を書いていこうと思う。

開園してからしばらくの間、私は都合により行かなかった。初めて行ったのは多分3年前だろうか。それまで長く疎遠になっていた友達と久々に再開したときに、彼女が「一緒に行こう」と誘ってくれたのがキッカケだった。

ハロウィン期間で、園内は賑やかだった。「いつもはもっと静かなんだよ」と彼女が言った。賑やかとは言え、そこまでごった返す様な状態ではない。そもそも、来場者数はそこまで多くないんだろう、と思った。それでも園内で催されるアトラクションやショーはとても魅力的で、どれも楽しかった。

初めて入ったライブ・アトラクション。「PHANTOM」というタイトルの作品だった。目の前の、そこまで広くもない舞台で所狭しと縦横無尽に駆け巡るキャラクター達。面白いくらい近い。そして、そこに居るのは紛れもなく2.5次元の麦わらの一味だった。あぁ、ルフィってこの世に居たんだ、と思った。

グリーティングにも参加した。楽しそうに出迎えてくれるキャラクター達。時には仕込み芸に遭遇し、笑わせてくれたこともあった。俳優さんって凄いな、なんてメタな事を考える反面、目の前にいるのはやっぱり大好きなキャラクター達だった。

その友達とかなりの回数行っただろう。多い時は月2回くらいだったと思う。何処に遊びに行こうか迷ったら「タワー行こ!」が合言葉の様になっていた。気付けば待ち合わせ時間も観るショーの時間もノー打ち合わせでチケット取る様になっていた。そのくらい、行っていた。ひとりで行くときもあった。当時、ソラマチの近くで働いていた私は、仕事終わりに浅草線に乗って大門まで行き、そこから東京タワーを目指す、という事をよくやっていた。最終公演は20時なのに、かなり人が居る時もあった。

海外のお客さんがどっと増えた。アナウンスが日本語だけじゃなく、英語、中国語、韓国語など多岐に渡る様になっていた。島民(キャスト)さん達の中にも流暢に多言語を操る人が増えている事にも気付いていた。

少しずつ、園内の仕組みが変わっていた。今まで無料で参加出来たものが有料になったり、出来ることが減っていたり。丁度1年くらい前だ。もしかしたら、経営が危ないんだろうか、と薄々感じていた。前述の通り、閑散としているのが常だったからだ。

運命の出会いがあった。2019年1月。あれは実際再演版だったのだが…ダンスカンパニーDAZZLEとTOPTのコラボ作品、イマーシブシアター「時の箱が開く時」。DAZZLEを知らなかった私がDAZZLEに魅了され、TOPTが大好きだった私がもっとこの世界感を愛した瞬間だった。思い出のあの作品を、いつかまた再演してくれますように、と何度も願っていた。それももう叶わない。

入ってすぐの360シアター。繰り広げられる尾田先生のイラストで描かれたアニメーション。まるでONE PIECEの世界に本当にトリップしていくかのような演出。何度観ても感動していた。初めて観に来ただろうお客さんが歓声を上げているのを聞いて、心の中で「すごいでしょう!?わくわくするよね!!」と言っていた。

楽しげに宴をしている最初のフロア。奥に見えるのは専用の御土産物屋さん。まだ周る前だというのに、ついつい立ち寄ってしまう。たまにここにしか発売されないものがあった。それが欲しくて中に入ったこともあったっけ。

エスカレーターを上って、真正面に見えるのはウソップの狙撃ゲーム。初めて挑戦したときはかなり惨敗だったな。最後の的まで行ったけど、的じゃなくてスパンダムの顔狙ってたっけ。

直ぐ隣にあるのはナミちゃんのカジノ。景品のカードが欲しくて何度かチャレンジしたけど結局ゲット出来なかったなぁ。チップ版になってから一度も挑戦してないかも。

その隣にあるのはロビンちゃんの探索ゲーム。園内のあちこちに書かれた古代文字を探す、というもの。何度か挑戦したけど全然高得点取れなくて、作戦会議までしたことあったな。

ウソップのゲームの隣の道を進んだら、ゾロのゲーム。飛んでくる砲弾を切れ!ってゲームだったけど、難しすぎてなかなかうまくいかなかった。一度くらい高得点取れたらよかったんだけどなぁ。あれ難しいよね…。

道を進むと、ブルックのホラーハウス。ここは思い出がいっぱい。初めて入った時はお化け屋敷が苦手な友達が叫びまくってて、可笑しくて仕方なかった。最後の塩玉入れるのはちょっとドキドキしたよね。イマーシブシアターの時は科学者軍団のひとりに手招きされて、わくわくしながら追いかけたら「いってらっしゃい」状態で、結局中で友達が叫びまくるという事もありました。出てきたら誰も居なくて「わかってたとも…!!」ってなったな~。

その先にあるのはサニー号の探索エリア。あちこち面白い仕掛けがあって、特に女子部屋はいい香りしたよな…。後々、ONE PIECEのVRが出た時に同じシーンが出てきて、その後女子部屋に行って「え、ナミちゃんこの距離だったよね!?」って再現やってキャーキャー言ってたな。

通路を進むとフランキーのコーラバーとフランキー将軍のガチャ。コーラバーはよく行った。雑談したり、絵描いてたり、軽食したり。時間潰す時は大体あそこにいた。結局ガチャ景品でほしいものがあったけど、ゲット出来てないな…。

エスカレーターをもうひとつ上ると、企画展。色んなことやってたな…。奥に進むとルフィの探検ゲーム。ルフィの歴史が体験できるんだけど、いつもミラーメイズで「どっちやー!!」ってなる。すごく広い気がしてるけど、エリア限られてるから実際そうでもないはずなのにね。そして炎のトンネルをくぐった先にはエースの等身大フィギュア。最初に見た時から毎度毎度ここで「エ~ス~」って喚いている。更に進むと手配書部屋があるんだけど、毎度ネタにされるマルコ。いつか手配書更新されますように。

最後はライブ&アトラクション。365日1日5~6公演というスケジュールで開催され続けてきた。終わってしまう物語に想いを馳せ、始まる物語にあれやこれやと憶測働かせたこともあった。どの席で観ても面白くて、素敵で、楽しくて、かっこよくて、いつだって没入させてくれる世界だった。あれが無ければ、私はここまでTOPTを好きにならなかったかもしれない、と思うくらいには、とても重要な要素だったろうな。本当、ずっと楽しかった。

歌姫アン。トンガリ島(TOPT)で生まれた彼女は、映画にも出演した。これからは、もうトンガリ島の歌姫アンには会えない。もう、あの歌声は聴けない。ひとつだけ願いを言ってもいいのなら。一度だけで良い、歌姫アンのライブをやってください…。

夕飯はいつも東京タワーのフットタウン1Fにあるサンジ君のおれ様レストランだった。バースデーフードを楽しんだり、キャラクターモチーフを面白がったり、それぞれの座席のイメージに心弾ませたり。友達と行くときはいつも閉店間際まで居座ってしまい、最後のお客になることも多かった。…あのレストランも、もう無くなっちゃうのかな。

カフェ麦わらも好きだった。ついつい居心地が良くて長居してしまう。ひとりでTOPTに行った後はいつもここでご飯を食べていた。その日に見た素敵なお話を、ゆっくりと堪能する時間になっていた。ヘッダー写真は、初めて行った日に撮ったもの。…ぬいぐるみは私のだよ。

私はそこまでヘビーユーザーじゃなかったかもしれない。もしかしたら落としたお金もそこまで多くないのかもしれない。でも、もう少し値上げしたって構わないから、もっとお金掛かっても構わないから、残っていてほしかった。ONE PIECE自体と経営母体が違うTOPTは、昨今のコロナの影響でもう家賃すら払えない程に衰退したんだろう。どうしてもっと早く、私達にお金を掛けさせる決断をしてくれなかったの。クラウドファンディングでもなんでも、継続させる方法を選んでくれなかったの。そんな気持ちでいっぱいだ。

とは言え、決まってしまった話にもうどう抗っても一個人が勝てるわけもない。叶ってほしい夢はいくつもあったのに、もう叶う事もない。行っても、麦わらの一味は出迎えてもくれない。失う世界が、大きすぎる。

TOPTの閉園のお知らせに書かれた言葉。

〝麦わらの一味〟が「トンガリ島」を間もなく出航する日を迎えます。

思えば長い寄港でしたね。5年もの間、この島を守ってくれてありがとう。これから先の貴方方の航海に、幸多き事を。叶うならば、いつかまた帰ってきてください。私は観光客でしかありませんが、この島で再び会えることを祈っています。本当に、ありがとう。

いってらっしゃい。

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