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妹のおなかにブランケットをかけた今日のはなし。


今、そのブランケットを仕舞ったところ。
雑誌の付録だった手触りがお気に入りのクジラのブランケット。

長い1日だった。
そんな気がする。
久しぶりに妹と過ごした1日だった。

お互いにずっと気になっていた『犬王』を朝イチで見て。
軽くランチをした後、洋服を買いに。
ファッションセンスが壊滅的な私に妹は的確にコーディネートのアドバイスをくれる。
妹の選んでくれた服はことごとく彼氏にほめられる。
ありがたいことに数年前から、わたしには妹という専属スタイリストがいる。
その点については心の底から尊敬と感謝。

私のアパートに一緒に帰って、おやつを食べてお昼寝をした。

眠りはじめた妹のおなかは目に見えてふっくらしてきた。
9月には妹はお母ちゃんになり、私はおばちゃんになる、予定。
扇風機をつけるくらい暑いけど、ワンピース1枚のおなかが気になって、私はそこにそっとブランケットをかけた。

夕食の豚の冷しゃぶを一緒に食べたあと、「楽しかった。ごちそうさま。」と言って妹は帰っていった。

急にシンと静かになった部屋を片付ける。
ブランケットをたたみながら思った。
眠りしなにブランケットをかけてもらう心地よさを私は知っている。

幼い頃、学校から帰ると、祖父と祖母に面倒を見てもらいながら共働きの母の帰りを待っていた。祖父母の居間にはこたつがあって冬はいつもそこで眠ってしまっていた。
古い家だからこたつにもぐっても寒くって、こたつ布団にくるまった。
ウトウトとし始めると、寝始めたことに気がついた祖父がどこからか毛布を出してきてそっとかけてくれる。
夢うつつの中で感じるあたたかさと、見守られている心地よさが私の記憶にはこびりついている。

"自分がされて嫌なことは人にはしちゃいけないよ。自分がされて嬉しいことを人にしなさい"

子どもの頃、私はそう教わった。

"嬉しいこと"の中に、"ブランケットをかけてもらう"が入っている私は恵まれていたんだな、と今はそう感じる。

幼い頃、夜眠る前に母が妹と私に布団をかけてくれているのを見ながら嬉しい気持ちと同時に「ママは誰にも布団をかけてもらえないの。」と、なんとも言えない切ないような気持ちが込み上げたのを思い出した。

でも今思うと、母はきっとそうやって、母親、私の祖母に布団をかけてもらっていたんじゃないかな。

そして、今度は妹が、自分がしてもらったように布団を優しくかけてあげる日がくるんだな。

そうやってあたたかさって繋がっていくのかな。

なんて、思った、今日のはなし。





最後まで読んでくれたあなた。

ありがとうございました。

春瀬



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