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出会って21年目の春を祝った今日のはなし。


パッと目が覚めた。まだ部屋は暗い。
すごく寝た気もするし、そうでもない気もする。
真夜中だったらヤだなと思いながら携帯をつけたら、4:25だった。
背中の真ん中が汗でしめっていた。
春が来たんだ、と思った。


不器用な私でも32㎜のコテで巻けるくらいには髪が伸びた。
前回会えた時はどのくらいの長さだったかな。
美容師さんがびっくりするくらいには、髪が伸びるのが早い。
半年に1度のペースで会う幼馴染は、「会うたびに髪型が違う」と笑う。

お化粧しよう、と鏡に向かう。
今日は春らしく、少し湿気を含んだ晴れの日。
空はもやっと、縹色。
柔らかい朝の光を受けると、グラデーションに染めた髪はよりくっきりと色を変える。
なんだか、うれしくなった。


10:24発。駅までのバスに乗る。
駅に着くと次の電車まで余裕があったからKALDIに寄った。
きみ用コロナビールとわたし用レモンビールと、チョコプレッツェル。

ホームの日影はまだ冬の雰囲気が漂って冷え冷えとしている。
電車に乗っても、冷えた指先はそのままだった。


約2ヶ月ぶりに会えた。

たこ焼きを買って。
真っ昼間からビールで乾杯をする背徳感を共有。
最近のこと、これからのこと、好きな動物のこと、家族のこと、小学生のとき流行った遊び、大学生に流行ったあの歌。
流れに任せて、脳みそをゆるめて。
とりとめのない話をだらだらして。
気がつけば空には生まれたばかりの細い月が光っていた。


腰が重くなりがちな私。常に受身なきみ。
でも、私の状態を察知する能力はエスパー並みのきみ。たぶん、私のエネルギーが貯まるのを待っていてくれたんだな。
わたしたちに無理は似合わない。

先のことを考えると、焦る気持ちもあるけれど。
でもまずは、出会ってから20年経った今でも隣に在れるしあわせを噛み締めて。
これからも一緒に楽しく同じ時間を生きていける方法を、ゆっくり考えていければいい。
人生良くも悪くも何が起きるかわからないけど、
2人でならどうにでもできる気がする。
今は、そう思う。


「出会って21年目の春ですね。」


『えーと、あと100回は同じ春を迎えようと思います。』

きみは冗談めかしてそう言ったけど、


「賛成。」


けっこう本気でそうなればいいと思ったよ。


そんな、春のはじまりの今日のはなし。



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最後まで読んでくれたあなた。

ありがとうございました。

春瀬


最後まで読んでくれたあなた。 ありがとうございました。またいつか🍄