じわじわと秋に染まる今日のはなし。
買い出しの帰り道。バス停から降りて家まで歩く。排気ガス、雨のアスファルトの匂いに混ざって、ほのかに香る甘い匂い。目が悪いのを補填するように鼻はよく利く。金木犀だ。
金木犀は私を見ていてくれる、何代も前のご先祖さまのような植物だ、と勝手に思っている。実家の庭の端っこに大きな金木犀の木があった。今もあるけれど、数年前まだ元気だったじいちゃんがばっさり切ったから、今はだいぶこじんまりしている。
今、私は職場が所有しているアパートに住んでいる。そこにも偶然あった。実家の金木犀より