デジタル時代だからこそ、アナログ的な人間関係の構築を

BlogやTwitter、そしてnoteといろいろなSNSを使用して、情報発信をしていますが、noteの使用用途をいまいち導き出せておらず、Blogとの線引きに悩んでいます。Blogの代わりに少し使ってみようと思います。

今日は、ある法人で考課者研修を行いました。

人事考課制度の基本(行動の選択・要素の選択・段階の選択)について解説すると共に、模擬面談を通して、職員の問いかけ方を「Why(なぜ)」から「What(なに)」に変えることで、コーチング要素を含んだ、納得性の高いフィードバックに変わるという体験を行っていただきました。

この研修の中で繰り返し伝えたのが、「考課者が常日頃から等級制度で定められている期待人材像や考課表の考課要素に照らし合わせて、日々部下の姿を観察し、指導・育成してください」、ということ。

日々の業務に追われがちにはなって当然ですが、要するに、「部下を育成することは立派な"仕事"と位置づけて取り組む必要がある」、ということです。

職員の採用戦略から、定着・育成戦略となった今、いかに職員一人ひとりの成長を組織の成長として共に喜び、組織的にアシスト出来るか(人材育成の仕組みがあるか、運用が出来ているか等)が問われています。

昨晩、ある特養の施設長と意見交換する機会があり、今後の職員採用や育成、定着支援について悩みや迷いをお話しいただきました。

特養の実態調査の中でも、ユニット型の施設では、従来型の施設と比べても、職員一人にかかる業務量が多く、責任の範疇が広くなるため、職員の離職は1年未満が特に多い傾向があります(マニュアルなどの業務の標準化とともに、独りにさせないOJTや同期とのつながりが思いとどまらせるための大きな存在になります)。

私は、他の特養の事例ではなく、あえて、ある保育園の職員のキャリア形成や研修受講などの自己研鑚の履歴や資料を一冊のファイルに綴じて管理している「人材育成ファイル」の取り組みを紹介しました。

たかがファイルに綴じているだけと思われるでしょうが、

①成長の軌跡が目に見えてわかり、今後の見通しを持てる       (キャリア形成や能力開発の成果物として個人の自信につながる)

②組織的に個人の成長をアシストする                 (育てられている、大事にされているというエンゲージメントの芽生え)

③指導・育成についての話すきっかけとなる              (職員の強み・弱みが明確となり、指導・育成のエビデンスになる)

といった、そこは保育園らしく"ねらい"をきちんと持って取り組んでいるわけで、話を聞いた施設長の中の悩みや迷いを、自信と決断に変えることが出来ました。

人事考課や指導・育成にも共通して言えることは、あなたが部下や同僚に興味を持って接することが出来ているかどうか、これにすべてがかかっているといっても過言ではありません。

そもそも、部下や同僚に興味を持って接していなければ、相手の心に響くような言葉を見つけて、指導や助言することもないでしょうし、日常的なコミュニケーションすら煩わしくてしないかもしれません。

人事考課だって、絶対評価にはなりっこありません。

また、"仲良しクラブ"的な居心地の良い関係性が強い組織では、相手にとって耳の痛いように感じられる指導・育成といった話しはおざなりになってしまい、組織の硬直化を招くことになるでしょう。

この「人材育成ファイル」は、部下と指導・育成の話をする機会を増やすきっかけにもなっており、変な言い方ですが、「そんな話をするのはカッコ悪い」という反応がある職員でも、その職員の強みや弱みなどを踏まえて指導・育成の話をするための強力なツールになっています。

上司から感情的な話を一方的に聞かされることもなく、上司・部下の関係性もよくなるという一石二鳥の効果を発揮してくれます。

また、福祉現場では多職種連携が必須ですが、介護職や看護師、機能訓練指導員、管理栄養士、生活相談員といった"専門職"というだけで、変ないがみ合いをしている組織がいまだに存在しています。

お局様が牛耳っている旧態依然の組織変革の担当を現在進行形で行っているぐらいですから、もう少し健全な組織風土づくりが福祉には必要だなと感じるわけです。

なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』という書籍がありますが、いい意味で自分自身のあるがままの姿で皆に受け止めてもらう組織風土を作ることで、職員間の距離を縮め、結果的にお互い様精神で共に支え合い、共に成長できる組織を作っていくことの近道になります。

Lineのスタンプひとつでコミュニケーションがとれ、Amazonのダッシュボタン一つで商品が購入できる、デジタル化が我々の生活を便利で豊かなものにすると共に、人間の能力を拡張させたり、はたまた低下させていくことにもつながる可能性を秘めています(コミュニケーション不足による表現力の低下やデジタル入力による漢字が書けない、読めないなど)。

私自身、多くのお客様と関わらせていただく中で好事例等をインプットし、それを他のお客様に媒介しながら、そのお客様の経営成果や理念の実現に向けたコンサルティングを行っていますが、お客様とのそういった膝を詰めて話し合いを重ね、ビジネスパートナーとしての関係性を構築するプロセスは、アナログに勝るものはないのではないかと思います(エビデンスとして、デジタルの力を借りる必要性はあると思いますが、私が時代遅れなのかもしれません…)。

昔のように、部下育成が先輩の背中を見て覚えなさい、で済む時代ではなくなった今だからこそ、部下や同僚、上司との関わり方も含め、関係性づくりのあり方を考えてみてはいかがでしょうか。

管理人



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