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ほうれんそうのしゅうかくさい

ある法人様で階層別研修をさせていただいているのですが、その法人の職員による内部講師による講義の中で、「“ほうれんそうしゅうかく”が大事」という聞き慣れないフレーズがありました。

よくよく聞くと、
ほう:「報告」
れん:「連絡」
そう:「相談」
しゅう:「周知」
かく:「確認」
と、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」に「周知」「確認」が追加されていました。

思わず、「なるほど!」と膝を叩いてしまったのですが、私自身、上司によく言われている「再確認(進捗状況の確認)」も加えた方が、情報共有や共通認識をより促進できるのではないかと思い、「ほうれんそうのしゅうかくさい(ほうれん草の収穫祭)」とハロウィンっぽく名付けてみました。

自分がほうれんそうの起点となる

"それあなたの「思い込み」じゃないですか?"でも、「ほうれんそう」についての現場で陥りやすい「思い込み」について取り上げましたが、私も昔は「ほうれんそう」が苦手で、誰に、何を、どのように伝えたら良いか悩んだ時期がありました。

しかし、「ほうれんそう」を徹底していくと、結果的に自分自身が楽になる、組織の中に味方を増やすことにつながる、という感覚を覚えました。
業務の進捗はどうで、どういったことで壁にぶつかっていて、どういったプロセスで進めようと思っているなど、上司や周囲の仲間に自分自身で発信しないと、上司や周囲の仲間も気づいてくれないのです。
“手段・方法を含めた“表現力”を磨き、伝え続ける勇気を持ちましょう”でも、夫婦間ですら赤の他人同士ですから気持ちを100%推し量るとか以心伝心なんて出来ません、ましてや会社組織の中でたまたま上司・部下の関係になったあなたの気持ちなんて、あなたが思っている以上に上司には伝わっていないわけです。

だからこそ、あなた(情報発信者)からの「ほうれんそう」が起点となり、情報という電気信号が組織内の職員というシナプスに伝播していくのです。
ただし、これで「ほうれんそう」したあなた(情報発信者)の役割が終わったわけではありません。
「ほうれんそう」した情報がきちんと職員(情報受信者)に「しゅうかくさい(周知・確認・再確認)」してもらう必要があります。

先日、ある特養での会議を終えて帰ろうとした際に、職員2名が会議室に現れ、「あれっ、会議は16:30からではなかったですか?」との質問に、担当者が「15:00からで、今終わりました。」と伝えました。
顔を見合わせた二人は、申し訳なさそうな表情を浮かべながら会議室を後にしました。
担当者は「施設の規模も大きくて、なかなか情報がきちんと行き渡らないんです」と弁明されましたが、施設の規模が大きいのであれば、それに見合う「周知」の仕方や「確認」方法を検討しなければ、「ほうれんそう」が不十分なため、結果的に重大事故や経営リスクを引き起こしかねません。

STEP1.「ほうれんそう」した情報を「周知」させるために

「周知」の方法として、事務所や職員休憩室などに紙面による掲示や回覧やグループウェアなどがあります。回覧して確認した職員が印鑑を押して「周知」を進める方法がありますが、ろくに目を通さずに印鑑を押していないでしょうか(形骸化していないですか)。「周知」させるためには、情報受信者に伝えたい情報を「周知」させたい意図や目的を明確に伝し、簡潔に表記されていなければ、目を通そうかなという気にはなりません。記載している情報にタグ(見出しやキーワード)をつけたり(法人からの事務連絡、施設からの事務連絡、利用者情報、その他など)、赤ペンやマーカで強調するなど、視覚的な工夫を行うと、短時間でポイントを押さえた情報の「周知」が可能です。

STEP2.「周知」が図れたか「確認」を

朝礼や定期的な会議の場などで、「○月○日に回覧した△△についてですが〜」というように、情報発信者が責任を持って「確認」する機会を持ちましょう(意見を求める内容であれば、誰かを指名して発言してもらうぐらい仕掛けましょう)。
情報発信者からの一方的な「いったつもり」「伝えたつもり」にならないよう、ここが重要です。
この「確認」を重ねていると、「まだ目を通していなかった」「さらっとしかみてないからもう一度確認しよう」と職員の情報共有や共通認識に対する意識を変えていくことになります(前回の記事の会議の在り方でも取り上げましたね)。

STEP3.最後の仕上げは「再確認」

私がよく抜けるのがこの「再確認」。
上司から「伝えたの?」→「伝えました」、「確認したの?」→「確認しました」、でいってみると思ってたんと違うということがあるのです。
部下に業務を依頼し、「○○やっといてくれる」→「はい、○○ですね」、「そうそう○○、よろしくね」→「○○、承知しました」、で確認すると○`○`になっていたり、△△になっているのです。

「再確認」の手法もいろいろで、口頭で伝えたことを紙面やメールで伝え直したり、○○の見本を渡してこの通り業務を依頼するといったことも「再確認」になるでしょう。
そこまでしなければならないか、と思われるかもしれませんが、ここまでしておいた方が後でやり直すよりはるかに効率的です。
また、「再確認」を重ねていると、“Aさんはこの水準までクオリティを求めるはずだ”、”Bさんはこういうことを意図しているな“といった仕事を進める上での勘所を掴んでくれます(組織の中の味方が増える感覚がここです)。
そうすると気持ちを推し量ったり、以心伝心に近づいたりするわけです。
ここまでしないと、部下や仲間と同じ土俵の上で仕事をしていることにはならないのです。

まとめ

「ほうれんそうのしゅうかくさい」が単なる語呂遊びのように聞こえるかもしれませんが、分かりやすく、インパクトのあるキャッチフレーズやスローガンの方が記憶に残ります(ビジネス用語のようにアルファベットの頭文字を取るのは類似語が多いので要注意)。

目の前の課題を大きいまま処理(解決)しようとする状態を私は「マグロ」に例えて、「丸々1匹のサイズ」から「切り身サイズ」「刺身サイズ(一口大)」に小さくして対策を講じましょうと真面目な顔をして職員研修で伝えています(私はマジで伝えようとしています)。
組織の中の共通言語として「それじゃマグロの状態だよ🤦‍♂️」とか、「NICE、刺身サイズ👏」といったように使ってもらえることを目指しています。

キャッチフレーズやスローガンはいかに皆が興味を持って日々の業務の中で使ってもらえるか(実践に結び付けられるか)が、職員の意識を変え、行動を変え、成果・結果を変えていくことに繋がっていきます。
経営理念から紐解いたり、補完する(補足的な)行動指針的な内容を設定したり、事業計画書からキーワードを取り上げるなど、組織の中の共通言語を皆(一部の職員ではなく”全員参加”)で作り上げ、同じ方向性を向いた組織づくりを実践しましょう。

管理人

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