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あの男には近づかずに早くここを立ち去ったほうがいいぜ💗『コンドル』 

 《乱れ撃ちシネnote Vol.067》

『コンドル』 ハワード・ホークス監督 1939年アメリカ

「死ぬまでに観たい映画1001本 第5版」選定作品

鑑賞日:2023年3月7日 U-next

【Introduction】
映画備忘録からこれらの作品を拾い上げました。

・『坂道のアポロン』三木孝浩監督

・『いま、会いにゆきます』土井裕泰監督

・『世界の中心で愛を叫ぶ』 堤幸彦監督

・『ハッピエスト・ホリディ』クリア・デュバル監督

・『ダンシング・クィーン』イ・ソックン監督 

・『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』アレクサンダー・ペイン監督 

・『山の郵便配達』フォ・ジェンティ監督 

・『レイディオ』塩野俊平監督

・『異人たちとの夏』大林宣彦監督

・『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』ラッセ・ハルストレム監督

・『ウォーク・トゥ・リメンバー』 アダム・ジャンクマン監督 

・『ペーパー・ムーン』ピーター・ボグダノヴィッチ監督

これらの作品の共通項は切なさなんです。
男女の恋人同士だったり同性の恋人どうしだったり母娘だったり父娘だったり兄弟だったり夫婦だったり。
どの作品も組み合わせは違えど“愛”をめぐる切ない物語なんです。
とうぜんワタシは泣いてしまいます。

日常生活ではほぼ無感動ですが映画はずるい!
泣かせにくるんだから。
そこはついちゃだめ、
メッ!こら、そこをつくのは反則だぞと凄んでみても
切ない気分が胸にこみ上げてきて泣けてしまうんです。

でもね。
こ〜いうこともあるんです。
男たちの“熱い友情”をめぐるこっ恥ずかしい物語に泣くこともあるんです。

昨日の『ヒズ・ガール・フライデー』

主人公二人の機関銃バトルのような超速セリフ合戦でロザリンド・ラッセルに押され気味のケーリー・グラントに本日は男を上げてもらいます。

本日のお題目はハワード・ホークス監督の『コンドル』です。

ある映画サイトによるとハワード・ホークス作品の人気ナンバー1。
今までにぼくが観たクラーク・ゲーブル主演作品のベスト1です。
面白くっても大丈夫その面白さを上回る感動的な作品なんです。

南米の小さな港町を拠点にしてアンデスの山々をぬって郵便物を輸送するパイロットと彼等を支える整備士たち。
山の絶壁に建てた監視小屋でだた一人天候を見あげている監視員。
彼らが日夜たむろす酒場の一角にある航空会社で飛行計画の総指揮をするケーリー・グラント。
「流れ者に女はいらねえ女がいちゃあ歩けねえ」とは鈴木清順監督の傑作『東京流れ者』渡哲也アニイの名セリフですが、
本作の場合は命をかけた男の仕事場に女は近寄るねえ!という男臭さムンムンの世界を描いた作品です。

役者、アンデスの地形、仕事に命をかける男たちの物語の展開すべてにワクワクできること請け合いです。
切なくて涙する映画は何本あれどホコリと油まみれのババッチイ男達の熱い絆と友情に涙してしまう映画はこの作品しかない。

【物語の概要】
ニューヨークのショーガール、ボニー・リー(ジーン・アーサー)は南米での巡業を終えてパナマへ帰る途中、舟が給油のためにエクアドルのアンデス山中にある小さな港町バランカに停泊した。
ボニーは夕方の出港まで時間があるので散歩がわりにその街唯一の酒場に入った。
酒場の奥には郵便運搬航空会社があり酒場はパイロットたちのたまり場として賑わっていた。
ボニーは目の前で命がけの仕事に没頭するパイロットたちに驚き総指揮をとるジェフ・カーター(ケーリー・グラント)に強く惹かれて夕方の船を見送り次の船が来るまでの1週間その街に留まることにした。

翌日新しく雇われたパイロット、バット・マクファーソン(リチャード・バーセルメス)が加わった。
しかしマクファーソンが以前同乗した機関士を見捨てて見殺しにした悪名高きキルガロンだと知るとパイロットたちは猛烈に反発する。
見殺しにされた機関士はこの航空会社のベテラン・パイロットのキッド(トーマス・ミッチェル)の弟だった。
キッドはキルガロンを激しく憎んでいる。
キルガロンが連れて来た新妻はジェフのかつての恋人ジュディ(リタ・ヘイワース)だ。
ボニー、ジェフ、バット、ジュディ、キッドの絡み合った人間関係の中で事件が起こる。

嵐吹きすさぶアンデス山中をセスナのように小さな飛行機で木の葉のように吹き飛ばされながら郵便物やニトログリセリンを命がけで運搬する男たちが・・・。

【Trivia & Topics】
*激しいやりとり。
険しいアンデスの断崖絶壁に建てられた小屋にたった一人で勤務する天候監視員。話し相手はロバだけ。刻々と変化する山頂の天気を本部に電話で報告する監視員とそれを参考にして飛行するかしないかを決めるジェフとの対話がスリリングだ。

*リタ・へイワース。
脇役で映画に出演していたものの泣かず飛ばすだったへイワースは本作品で一気に注目を浴びて1940年代ハリウッドのセックス・シンボルと呼ばれるようになりました。

*見事な飛行シーン。
暴風雨の中をニトログリセリンを積んで運搬するシーンを始めとして険しいアンデスの山沿いを目視とカンだけで飛行するスリリングなシーンや着陸に失敗して飛行機が炎上するシーンのリアルさが見ものです。

*表か裏か。
金貨を放り投げて裏か表で街に残るかニューヨークに帰るかを迫られるボニーとジェフとのコイントスの結果が・・。

*初代刑事コロンボ。
本作品で目を引いたのがジェフの片腕キッド役のトーマス・ミッチェル。
普段は寡黙ながらもボソボソっと皮肉とユーモアの混じったセリフを口にするミッチェルはこの映画の重要なアクセントです。
ミッチェルは1962年の舞台「殺人処方箋」で犯人を追い詰めるコロンボ刑事を演じて主役のジェゼフ・コットンをしのぐ人気ぶりでした。
残念ながら「殺人処方箋」のテレビドラマ化「刑事コロンボ」が企画された頃にはミッチェルは死去していたのでピーター・フォークが抜擢されました。トーマス・ミッチェルのコロンボも見たかったですね〜。

【鑑賞ガイド】
😁😁😁😁😁
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😁😁😁😁😁:見事な作品。
😄😄😄😄:お勧めです。
😀😀😀:楽しめます。
😔😔:苦手です。
🥵:途中下車。
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【巷のうわさ】
Filmarks:☆☆☆★(3.9)

Amazon:☆☆☆☆★

u-next:☆☆☆☆★




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やっぱり明日はミッチェルさんかな。

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