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-映画紹介-『ブリジャートン家』 各話の制作費に7億円以上かけた1813年のロンドンの貴族たちの壮絶な結婚狂想曲!

《乱れ撃ちシネnote vol.157》

「ブリジャートン家~エピソード1」~Netflixオリジナルシリーズ〜 ジョンダ・ライムズ監督 2020年アメリカ

鑑賞日:2023年11月19日 Netflix

【Introduction】
このところ、音楽評論家のKさんからジェリー・ガルシアの貴重な音源を焼いたCD-Rを送っていただいたり、

歯医者や整形外科に通うたびに週刊文春で読んでいた「ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒」の単行本が図書館に届いたたりでお楽しみがいっぱいだ。

昨日は山田太一死去のニュースがあったので大林監督の『異人たちとの夏』の話にそれてしまった。

前々回書いた「浪漫ドクター キム・サブ2」はシーズン1以上に面白かった。

キム・サブを演じているハン・ソッキョは初めて見たけれど若い医師たちのグル(導師)役がピッタリはまってまるで韓国版の「赤ひげ」。

シーズン3も楽しみだ。

ちょっと気分転換のためドラマから離れて映画を。
23.11.11(14) -☆☆-「オクジャ」ポン・ジュノ監督 2017年韓国 Netflix
「グエムル 漢江の怪物」のポン・ジュノ監督とブラッド・ピットの映画製作会社プランBがタッグを組んだNetflixオリジナル作品。

人気のない山奥で祖父と2人で暮らしている少女ミジャは親友の巨大なブタ「オクジャ」と10年前から一緒に仲良く森で暮らしていた。
ところがある日「ミランド社」のスタッフが現れオクジャをアメリカに連れて行ってしまう。

アメリカの巨大企業ミランド社のCEOで自己顕示欲の強いルーシーは「餌も排泄も少なく、環境に良く、味もとても美味しい豚」スーパーピッグの繁殖に成功した。
世界の食糧難を救うことをアピールするためスーパーピッグ26匹を世界中の畜産家に預けて10年後に最も優秀なスーパーピッグを決めるコンテストを開くことを宣言した。
それから10年たち、オクジャはコンテストで優勝した。

突然連れ去られたオクジャを救うために英語もしゃべれないミジャはオクジャを追いかけて一人ニューヨークへ旅立つ・・・。
素敵な物語だし巨大なオクジャも映像にうまく溶け込んでいるのに楽しめないのは脚本が弱いからかな。
一度途中下車したけれど、大好きなリリー・コリンズ見たさで最後まで観た。

カウボーイ同士の純愛ものという変わった切り口の『ブルークバック・マウンテン』で英国アカデミー賞 助演男優賞を受賞した独特の雰囲気を持つジェイク・ギレンホールもリリー・コリンズも活かされてない勿体ないキャスティングだった。
決して芝居が上手いとは言い難いけれどリリー・コリンズの可愛らしさは格別で、これだけ美しければなんでも許しちゃうけんね!な女優だ。
父親はロック・ミュージシャンのフィル・コリンズ
TVドラマ「エミリー、パリへ行く」ではコメディエンヌぶりを発揮している。

コリンズの際立った美しさは世界的デザイナー、アートディレクターの石岡瑛子の遺作となった『白雪姫と鏡の女王』(2012)で堪能できるし『ハッピーエンドが書けるまで』(2012)のちょっと蓮っ葉な女子大生役も切なくて魅力的。

気分を変えてもう一本映画を。
23.11.11(15) -☆☆-『ザ・キラー』 デビッド・フィンチャー監督 2023年アメリカ Netflix
パリの貸オフィスのがらんとした一室に何日も寝泊まりして向かい側の高級アパートに住むターゲットを狙う殺し屋 。
常に冷静で確実に仕事をやり遂げるがようやく標的が現れた時にニアミスして、ミスを許さない雇用主は彼を暗殺しようとして追い詰める。
殺し屋の棲家のあるドミニカ共和国と米国全土を股に掛けた追跡劇が幕を開ける。

という物語。

セリフの少ないハードボイルドでフイルム・ノワールなタッチの語り口調は魅力的だけれど何となく入り込めない作品だったのが残念。

フィンチャー監督で好きな作品はというと。
『ゾディアック』(2007)

『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』(2008)

『ゴーン・ガール』(2014)

『Mank マンク』 (2020)

残念ながら『ザ・キラー』はハズレてしまった。

次に観た作品。
23.11.12(16) -☆-「ホワイト・ノイズ」ノア・バームバック監督 2022年アメリカ。
化学物質の流出事故に見舞われ、死を恐れるあまり錯乱してしまった大学教授が、家族とともに命を守るため逃走する。
現代アメリカに生きる家族が死を身近に感じる環境に置かれたことで、愛や幸福といった普遍的な問題に向き合っていく姿を描いた作品。

映画紹介にはコメディと書かれているけれど一か所も笑えなかったしパニックものとしても楽しめない。
この後きっと何か起こるんだろうな~と観続けたがガマンの限界は1時間15分。
あと1時間はとても耐えられないので途中下車。

たまには日本映画でも。
23.11.12(17) -☆☆-「由宇子の天秤」春本雄二郎監督 2020年日本 Netflix
ドキュメンタリー・ディレクターの由宇子(ゆうこ)は女子高生いじめ自殺事件を追っていた。
テレビ局との確執を乗り越えていよいよ真相に迫りつつあった。
そのさなか学習塾を経営する由宇子の父が起こした“とある行動”を知り、由宇子は衝撃を受けることに・・・。

画面にも登場人物にも物語にも魅力が感じらず30分で途中下車。

「浪漫ドクター キム・サブ」のハン・ソッキョの作品で現在配信で観られるのは少ないのでこの作品をとりあえず観ておこうかな、と。
23.11.13(18) -☆☆-「世宗大王 星を追う者たち」ホ・ジノ監督 2020年韓国 Amazon Prime Video
ハン・ソッキュが代表作『シュリ』で共演したチェ・ミンシクと20年ぶりに共演した作品。

ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い友情を描いた韓国の史実をもとにした歴史ロマン。

朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。
第4代王・世宗は、奴婢(奴隷)の身分だが科学者として才能あふれるチャン・ヨンシルを武官に任命する。
ヨンシルは豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明して庶民の生活に大いに貢献する。
朝鮮の自立を目指す世宗は朝鮮独自の文字ハングルを作ろうと考えていた。
2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。
科学と真理と自国を愛する王様と一人の奴婢(奴隷)との身分を超えた熱い友情は明国の横暴により引き裂かれる。

感動的で素敵な物語だけど映画としてはイマイチだった。

ある人のnoteの書き込みを読んで興味を持った日本のTVドラマ。
23.11.13(19) -☆-「ナイルパーチの女子会」 瀧悠輔監督 2021年日本 Netflix
大手総合商社に通勤して高額収入を得ている30歳のエリート社員志村栄利子は「ダメ奥さん日記」という人気ブログを愛読している。
そのブログを書いている専業主婦の丸尾翔子とひょんなことから出会って急速に親しくなった栄利子は新たな友人ができたことを喜ぶ。
翔子も自分とはまったく境遇の異なる女性と友達になれたことを喜ぶ。
ところがある時翔子がブログの更新を何日間か滞らせたことがきっかけで、
2人に間に亀裂が生じ始め思わぬ展開に・・・

思わぬ展開が始まる前の第3話で挫折。
役者にも物語にも演出にも、何も惹かれるものがなかった。

気になるソン・ハッキョの作品をもう一本観た。
23.11.14(20) -☆☆-「ベルリン・ファイル」 リュ・スンワン監督 
2013年韓国 Amazon Prime Video

ベルリンを舞台に北朝鮮、韓国、アメリカ、ソビエトの諜報部員たちが入り乱れるスパイ・アクションもの。
北と南の区別が分かりにくいうちに物語が進むのでよく物語を理解できずやたらアクションばかりで全然入り込めなかった。

前々から観たい作品のリストに入っていた作品。
地上波ドラマとして2019年史上最高の大ヒットドラマというキャッチにも惹かれて。
23.11.15(21) -☆-「椿の花咲く頃」 リュ・スンワン監督 2019年韓国 Netflix
韓流コミカルドラマはやっぱり苦手だ。

それほど期待もせずに観始めたのがこの作品。
23.11.16(22) -☆☆☆☆- 「ブリジャートン家 ~シーズン1~」全8話  ジョンダ・ライムズ監督 2020年アメリカ Netflix

これが大当たり!

【イントロダクション】
一時期熱狂た「ダウントン・アビー」に似た雰囲気の1813年のロンドンの貴族たちの生活を描いた歴史もの。

「ブリジャートン家」は夏場のロンドンの社交界で開催されるデビュタント(正式に社交界にデビューする若い女性たちが一同に会して開催される大規模な舞踏会)を舞台に名門貴族のブリジャートン家の8人兄弟それぞれの愛と幸せを追い求める姿を描いた作品。

アメリカの作家ジュリア・クインのベストセラー・ロマンス小説『ブリジャートン シリーズ』(原題:Bridgerton series)を題材に 、メインキャラクターの一部に黒人やアジア人を配役するという大胆な設定の歴史劇。
社交界のスキャンダラスな結婚事情を描き、放送開始から28日間で8200万を超える視聴者数を獲得した超ヒット作。

【物語の概要】
ロンドンの高級住宅街にあるグロブナースクエア(現マリオット ロンドン グロブナースホテル)で開催される舞踏会で、主人公のダフネ・ブリジャートンが社交界デビューする日から物語は始まる。

マリオット ロンドン グロブナースホテル

毎朝社交界の女性たちが目を皿のようにして読み耽るのが「社交界新聞」。
最新のゴシップやスキャンダル記事が売り物だが発行人兼執筆者レデイ・ホイッスルダウンの正体は明かされていない。
謎のコラムニスト、レディ・ホイッスルダウンが読み上げる記事により物語が進行していく。姿を見せないホイッスルダウンの声はジュリー・アンドリュースが担当。

デビュタントではシャーロット王妃がその年の「ダイヤモンド」を任命する。美貌、家柄、財産、知性、佇まい、そのすべてを兼ね備えた最高の輝きを放つダイヤモンドのお屋敷には翌朝から多くの男たちが彼女の財産や地位目当てに列をなすことになる。
(注)実在したシャーロット王妃。

今シーズン、シャーロット王妃から「ダイヤモンド」と任命されたのが洗練された美しさを持つブリジャートン家の長女ダフネ。社交界デビューしたダフネ(フィービー・ディネヴァー)は後に続く妹たちのためにも早く結婚をしなければとプレッシャーを感じていたが、彼女の未来を案じる兄の過剰な干渉や、名家の名にふさわしい相手を選ばなくてはと慎重になっているため結婚相手を決めかねていた。

フィービー・ディネヴァー

そんなダフネの前に現れたのが兄の友人でセクシーでイケメンの公爵サイモン・バセット(レジ=ジーン・ペイジ)。

レジ=ジーン・ペイジ

初対面の時から自己主張の強い2人は反発し合うのだがある一瞬から恋におち・・・。
というありがちな歴史ものラブ・ロマンスなんだけど。

【Trivia & Topics】
*超弩級ヒット作
『ブリジャートン家』はジュリア・クインのベストセラーロマンス小説を原作にしたNetflixのオリジナルシリーズ。
2020年12月25日に配信を開始してネットフリックスの有料会員の40%に相当する8200万世帯がこのドラマのシーズン1の全話を視聴し、76カ国におけるNetflixの視聴率トップ10でナンバー1を記録。
すでにシーズン4まで企画は進行中だ。

*各話の制作費は前代未聞の7億円以上。
実在するイギリスの大邸宅や宮殿で撮影され、美術品なども一切動かさずそのままの空間にきらびやかな衣装とまばゆいばかりのヘアスタイルをまとった貴族たちが動き回る。
黒人やら有色人種の貴族が登場してカップルとなり、
舞踏会のシーンではビヴァルディやモーツァルトとともにアリアナ・グランデやマルーン5、ビリー・アイリッシュなどの現代ポップスがクラシックにアレンジされて鳴り響くなど斬新な演出には驚くばかりだ。
きらびやかな衣装をご覧あれ。

*この作品はいかがなものか!
しかしこのあまりにも斬新な設定や演出に「いかがなものか」と眉をひそめる保守的な人たちのツィートも少なくなかった。それに対して主人公一家と親しいフェザリントン家の末っ子ペネロペを演じて一躍人気者になったニコラ・コクランは「『多様性に富んだ時代劇ドラマなんて成功するわけない』って言っている人たちがいたのは、みなさんもご存じだよね。…でも、6300万世帯はそうじゃないって思ってくれたみたいだよ」と皮肉を込めたドクロの絵文字を添えたツイッターで反論した。

ニコラ・コクラン

きらびやかな衣装を身にまとって次々登場する個性的なキャラクター、
呆れるほどの大邸宅と貴族たちの生活、
ヴィヴァルディからビリー・アイリッシュまでが鳴り響く舞踏会、
貴族たちを前に広間でピアノを披露するアマデウス少年。
これほどきらびやかで目を見張る斬新な歴史ドラマは観たことがない。
まさしくザッツ・エンタテインメント。

(特にイントロから見事な演出の第7話を監督したアルリック・ライリー監督に注目しました)

【5 star rating】
☆☆☆☆

(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。

【reputation】
Filmarks:☆☆☆☆

Netflix:🔘



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