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-映画紹介-『こっぴどい猫』 「好きだ」という感情の前では倫理も人間関係も世間体も無力だ!

《乱れ撃ちシネnote Vol.18》

『こっぴどい猫』 

今泉力哉監督

【Introduction】
時間の許すかぎりサブスク映画を観ている。
人の集まる場所は苦手。旅行やスポーツには興味がない。仕事のために外出したり打ち合わせのために人と会う必要もない。
読書と音楽と映画。すべてインドアでこなすのでコロナ禍による外出規制も問題もない。
しかも暮らしているのは三浦半島の突端の三浦市。
20分ほど歩けば昭和の一時期マグロの遠洋漁業で栄えて銀座を凌ぐ不夜城と言われた三崎港がある。
マグロ業が下火になってからは昭和の面影を残す商店街がひっそり残っているだけ。
土日には“みさきまぐろきっぷ”を持った観光客が集まるプチ観光地となるが交通の便が悪くまるで離島のような過疎地でもある。
そんな土地でなんのストレスもなく連日映画漬けという現在は我が人生最良の時間。

ホラーやスプラッタそれにアニメも苦手なので手を出すことはほとんどないがジャンルにこだわりなく映画を観ている。
途中下車した映画も何本もある。
映画は面白ければいい。
いい映画よりも面白い映画に惹かれるけど面白い上にいい映画に出会った時の嬉しさは格別だ。

映画漬けの毎日を過ごしているうちに自分が映画に求めているのはサスペンスだということに気がついた。
ドキドキさせてくれる展開が好物だ。
SFでもミステリーでも恋愛ものでも歴史劇でも胸キュンものでもジャンルはなんでもいい。ドキドキさせてのもらいたい。あっと驚かせてもらいたい。
これは好きな音楽や文学でも同じだ。
え、え、え?
この先どうなっちゃうのというスリリングな気分がたまらない。
歳を重ねてもいつまでもドキドキしていたい。

感想を示す☆印については今後このスタイルにした。

☆☆☆☆☆:見事な作品
☆☆☆☆ :面白い作品
☆☆☆  :平凡な作品
☆☆   :残念な作品
☆    :退屈な作品

予備知識がなく期待もしていなかった作品がドキドキさせてくれた時の嬉しさはひとしおだ。
今年観た538本目も思いもかけないひろい物だった。
観終わったとたん思わずうまい!と独り言。
ドキドキさせてくれた上に大笑いさせてくれたのが
今泉力哉監督作品の『こっぴどい猫』。

ちなみに過去に観た今泉力哉監督作品は◯愛がなんだ(2019年)☆☆☆☆◯『アイネクライネナハトムジーク』(2019年)☆☆☆☆◯『mellow』(2020年)☆☆☆◯『街の上で』(2021年)☆☆☆◯『かそけきサンカヨウ』(2021年)☆☆☆の5作品です。

【Prologue&Story】
代表作「その無垢な猫」で知られる作家の高田則文は、妻に先立たれてから一切小説を書いていなかったが、それでも日々を平和に過ごしていた。
しかし、行きつけのスナックのママが企画してくれた60歳の誕生パーティが迫ったある日、則文は「奥さんがいる人とばかりつきあってしまう」という訳ありの美女・小夜と出会う。小夜の恋愛相談にのることになった則文は、小夜の家を訪れるが……。(映画.comより)

【Trivia & Topics】
*総勢15人の男女が繰り広げる7つの三角関係を描いた恋愛群像劇
人間関係がややこしくて図解しないと人には説明できない。
ややこしくめんどくさくて嘘ばっかりな大人の恋物語がくんずほぐれつして全貌が見渡しにくいのにとても楽しめる作品だ。

*《モト冬樹生誕60周年》って何なの?
おそらく世の中には《モト冬樹生誕60周年》というクレジットにいかがわしさを感じてパスする人と怖いもの見たさで観てしまったワタシのような人に別れると思う。

*冒頭三人のシーンを見て直感的にこの映画はいけそうだと感じた。
っが、
その後がのらりくらり。
外したかなと思った9分近くの小さなバーのシーンからこの作品はがぜん面白くなってくる。
魔女が登場したからだ。

否、
そのシーンでは小夜は暗い目立たない女だったのに物語がすすむにつれてちょっと面白い女だな〜と思わせたと思ったら、あ!可愛い、どころか美人!に変わる。
挙げ句この女は魔女なんだとビックリした。

*小夜を演じる小宮一葉という女優さん
彼女の演技力なのかメイクさんが達者なのか監督の撮り方による七変化なのか分からないけれどこの変化はスゴイ。
小夜がピアノで弾いたバッハの演奏が良かったので誰が弾いたのかと調べたら東京音楽大学ピアノ科卒業の小宮一葉本人が弾いているということを知りまたまたビックリ。

*一人の魔女をめぐる映画。
一人の魔女をめぐって浮気不倫片思い嫉妬思い込みが万華鏡のようにきらめき絡みつく作品なのだ。
ラストシーンの見事な裏切りにはうまい!と唸ってしまった。
今泉力哉監督はいいね。
思ってもみない刺激的な作品と巡り会えるのはサブスクのおかげだ。

【5 star rating】
☆☆☆☆

【reputation】
Filmarks:☆☆☆★(3.8)


AmazonPrimeVideo:☆☆☆☆☆


u-next:☆☆☆



っで、
次に何を観るかの選択肢はいくつかある。
一番観たいのは現在公開中の小宮一葉主演の『百合の雨音』だけど映画館のある街まで電車で片道一時間以上なので入場料以上に交通費がかかるのはちょっと苦しい。
u-nextで990円払えば観られるけれど【乱れ撃ちシネnote】はAmazon Prime Videoもしくはu-nextの見放題作品から選ぶという縛りで選んでいるのだから除外。

今泉監督の『サッドティー』を観るか小宮一葉の出演作『おにいちゃんは戦場に行った』『夜だから』『世界の終わりのその後で』を観るか。
いっそのこと今泉監督の奥方今泉かおり監督の『聴こえている、ふりをしただけ』にするか。
さてお次はどれにしようかな・・・。

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