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手縫いの畳を作る畳職人さん

手縫いの畳を作ることができる数少ない畳職人さんの撮影に立ち会わせてもらった。

最近、取材で職人さんや農家さんの仕事を見せていただく機会が増え、本当に嬉しい。そして見せていただくことで改めて、これからは自分のできる範囲でなるべく良いもの・ていねいに作られたものを入手し、長く大切に使いたい(できれば農家さんから直接買って食べたい)なと思う。

藁床・手縫いの本物の畳は、しっかりした感触もありながらふわふわな踏み心地。スチロールのような素材を使った畳の硬さとはまったく違っていて、驚く。

贅沢はできないにしても、本物を知る、作られる過程を知ることは大事だ。この過程を知っていれば高いとは思わないし、高いだけの理由があるとわかる。

畳の芯材となる藁は、機械で稲刈りされたものは細かく砕かれてしまうので、手で刈り取られた稲藁しか使えない。稲の干し方によっても畳に使えるかどうかが変わってくるのだそう。
また畳表となるい草は、広島産のものがよかったが現在では入手できず、熊本産のものを取り寄せているとのこと。色が均一で太さが整っている部分しか利用できないので、必然的に上下は切り落とし中央に近い部分だけを利用することに。
どちらもていねいに刈られた、充分な長さを持った質の高い素材しか使えないのだ。

写真は、手縫い同様のクオリティで縫える大正時代の機械。動かなかったものを何年もかけて復活させたという貴重な機械だ。
要所要所に機械油を差しながらの作業。機嫌が悪いと途中で止まってしまうというが、撮影のときは機嫌がよかったらしい。最後まで一度も止まることなく縫い上げた。

「機械を使うことは必ずしも悪いことではない」と手縫いで仕上げる技術を持つ職人さんが言う。この機械を使うことで、機械ならではの均一な力で藁床を縫い上げることができるからだ。
そしてそのおかげで、私たちは本物の畳をリーズナブルな値段で手に入れることができる。

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