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近代文学の話

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近代文学や近代文学作家についての記事を投稿していきます。
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記事一覧

霜降り明星せいやの執筆スタイルは檀一雄のデビュー小説と一緒

 先日、Xのタイムラインに霜降り明星のせいや氏の次のようなポストが流れてきました。  確…

霊泉寺温泉の旅館から

 霊泉寺温泉と言ってどのくらいの人がわかるものなんでしょうか。大変こじんまりとした温泉地…

国立国会図書館デジタルコレクションで読める藤澤清造作品

はじめに 2022年に心疾患で突然この世を去ってしまった作家、西村賢太。  私は近代文学、…

太宰治と棟方志功--「善蔵を思う」に書かれた衝突

 小説家、太宰治と版画家、棟方志功は共に青森県出身で、太宰は明治四十二年(1909年)北…

檀一雄「小説 太宰治」に登場する音楽まとめ

はじめに  檀一雄「小説 太宰治」には檀一雄との交友の中での太宰治のエピソードが数多く…

当事者が語る坂口安吾ライスカレー百人前事件

ライスカレー百人前事件とは  「堕落論」などの評論や「白痴」などの小説で知られる無頼派作…

太宰治の「富嶽百景」と井伏鱒二放屁事件

 僕が太宰治のエピソードの中で好きなものの一つに「井伏鱒二放屁事件」というのがあります。  太宰は1935年に虫垂炎と腹膜炎を併発し、患部の疼痛を鎮静するために用いたパビナールの依存症になってしまい、各方面に借金を重ね、奇行を繰り返し、周囲の信頼を失っていきます。本人はその頃の夫人である初代には「井伏さんに言うのはもう2、3日待ってくれ。自分の体の始末は自分でつける」と言い、親友の山岸外史には「パビナールくらい自分で抜いてみせる」と豪語していたそうですが、状況は改まらず、周

辻島衆二(太宰治)「再び埋め合せ」について

 大正十五年十月五日発行の同人雑誌「青んぼ」第二号に収録された辻島衆二「再び埋め合せ」に…

太宰治の犬嫌い

 太宰治のイメージって色々あると思うんですけど、僕の中で結構強いのが「犬嫌い」なんですよ…

太宰治と味の素について

 太宰治のエピソードでよく語られるのことのひとつに、味の素が好きだったというものがありま…