宗教法人の地位と信教の自由

以下のPDFファイルが論稿の本体である。

Introduction

霊感商法、高額な献金など様々な問題が指摘されている宗教法人世界平和家庭連語(通称:旧統一教会)の問題が取り沙汰されている中で、旧統一教会へ、宗教法人法に基づく解散命令を裁判所に請求する声がある。解散命令が下された先例としては、平成7年のオウム真理教に対するものがある。その命令について、最高裁は、宗教法人法に基づく解散命令が信者が行う宗教上の行為への支障は、間接的で事実上のものとして、信教の自由に関する制約をあまり審査せずに合憲とした。しかし、現実的には信者へも不利益を与えることは事実であろう。また宗教法人は、法人税法上の「公益法人等」に位置づけられることから、税制上優遇を受けていると批判されることも多い。しかし、こうした優遇と理解されている現在の制度は、憲法が宗教を尊重しているため設けられているものである。宗教法人という法的地位は、そのような様々な配慮を受けることのできる一方で、それを奪われる際には信教の自由と直接の関係は無いとされるが、信教の自由の保障に一定の役割を果たしているという現実から、宗教法人制度について、憲法上の積極的な意義を認識する必要がある。

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