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コーチングの5つの誤解

私は普段、組織開発・人材育成の会社で働いているのですが、実感知として、ここ最近は特に組織のコーチング需要が高まっています。大手企業においては、マネジャーの研修には当たり前に導入されてきておりますし、エグゼクティブ層だけでなく、若手~中堅社員に向けた組織コーチングも依頼が増えています。

個人的なつながりで「コーチング気になる!受けたい!」と連絡してくれる知人・友人も増え、20代~30代でも「コーチング」という言葉が普及していることが嬉しいです。

一方で、「コーチング」という言葉だけが独り歩きしてしまっているなあ、と思うこともあります。今日は、コーチングを受けたことがないクライアントさんからよく聞かれる質問などを踏まえて、コーチングの誤解というテーマでnoteを書きます。


誤解1:コーチングって要は傾聴でしょ?

最近コーチングスクールに通っている、コーチングをしていると周囲に話したときに言われたことがあります。

「コーチングって要するに傾聴でしょ?」

コーチングで大事なスキルのひとつに、確かに「傾聴」はあります。一方で、傾聴だけではなく、コーチングにはたくさんのスキルがあります。(基礎スキルだけでも15~20個くらいはあります)

さらに、コーチングは、スキル(Doing)だけでなく、コーチの在り方(Being)も影響します。これはコーチングを実践した人にしかわからないと思うのですが、コーチングは本当に難しい。わかるとできるは大違いです。いわゆる"型"でコーチングをすることもできますが、それだけでは限界があります。人の考え方や好みが多種多様なように、受け止め方はクライアントさんによって千差万別だからです。

コーチングは生ものであり、創造的対話の場です。受けたことがない方は、ぜひ体感覚を伴って、コーチングという時間を経験してみてください。


誤解2:コーチは万能。コーチングはアドバイスを貰えるもの

これは非常によくある誤解ですね。コーチというとスポーツ界のコーチをイメージされる方が多くいらっしゃいます。スポーツ界のコーチも、言わずもがなもちろんコーチです。ですがメディアに出てお話されているイメージがすべてではありません。

コーチングは、「クライアントとコーチとの関係性から生まれる創造的対話の場」です。つまり、コーチが答えをもっていることはなく、どこかに導こうとしているわけではありません。クライアントとコーチ双方の積極的に場を創り出す主体性によって紡がれる対話の時間なのです。

コーチングの時間での言葉や感性、アイデアは、その瞬間に降りてくるものであり、前もって用意したものではありません。したがって、クライアントさんのコーチングへの姿勢が非常に重要になります。

「一方的なアドバイスをもらいたい」「自分は何も考えたくない」と思う方はコンサルティングの方が向いているかもしれません。ただ、コンサル的関わりができるコーチもたくさんいます。主軸をどこに置くかですが、コーチに「メインはコーチングで、コーチからのアドバイスも積極的にほしい」とリクエストすれば、応じてくれるコーチはいらっしゃいます。その場合は、コーチのプロフィールをよく読み、自分が欲しいアドバイス領域でのご経験をされている方に依頼するのがベターでしょう。

誤解3:コーチングは0から+のみの領域を扱う

よく、コーチングとカウンセリングの違いという説明で、カウンセリングはマイナスからゼロ、コーチングはゼロからプラスという棲み分けをされています。これは、ある側面では正しく、ある側面では正しくないと思っています。

確かに、コーチングは主に未来の領域に対して対話をしていきます。

「自分のやりたいことを見つけたい」「しあわせな人生を送るために、変わりたい」

こういったプラスのエネルギーが源泉になければ、成り立つものではありません。ただ、人の感情は常に揺れ動いているものであり、時にマイナスにもプラスにもなります。同じ人でも、昨日と今日で「状態」は変わっています。

では、物事に対しマイナスの見方をしてしまっているときにコーチングは効果がないか?と問われると、Noです。効果はあります。根底に「よい状態でありたい」「変わりたい」という灯さえ消えていなければ。

マイナスな見方に囚われてしまっているクライアントに対しては、視点の切り替えを体験して頂いたり、今この瞬間の感情に寄り添い、昇華の手助けさせて頂いたりするコーチングセッションもあるのです。

ですので、私は以下のような解釈をしています。

「コーチングは0から+のみの領域を扱う」…No           
「コーチングはマイナスから0の領域扱う」…Yes

「私は今、マイナスだからコーチングは対象外だ」と思わずに、「自分の人生をよりよいものにしたい」と思う方はぜひコーチングを体験して頂きたいなと思います。

コーチングは人の心の深いところを扱う時間であり、とても繊細な時間であることは言うまでもありません。無論、コーチのスキルや姿勢があってこそ成り立つ時間です。コーチングという時間が、クライアントさんを傷つけてしまうようなトラウマ経験になって欲しくはないので、ご自身の目的に応じられるコーチと出逢えることを願っています。

コーチ側としては、自分が向き合える域でないと判断した場合は、無理に対峙せず、速やかに専門領域の方を紹介することもまた、コーチの自己管理ですね。

誤解4:コーチングは目標がなければ受けられない

「コーチングは目標達成のための手段のひとつであり、目標がないと受けても意味ないでしょ?」

これも私が問われたことがある質問です。結論から申し上げますと、効果はあります。

もちろん目標があり、そこに向かって邁進していきたい方に合致している手法がコーチングです。

ただ、コーチングはれっきとした「目標」がなくても効果があります。

例えば、「なんかモヤモヤするなあ。」

これだけでも構いません。コーチングをしている中で、「何にモヤモヤするのか」「モヤモヤしているとはどんなイメージか」「どういう状態であれば心地よいのか」などを深ぼっていく中で、「モヤモヤの正体」が言語化され、自己認識が高まります。コーチングの前から「目標」が無くても、セッションを通じて「ありたい姿」「目指す世界観」の輪郭が現れてくる場合もたくさんあるのです。

したがって、コーチングを受ける前からしっかりした「目標」が無くても大丈夫です。「対話を通じて自分の状態をよくしたいなあ」くらいの気持ちさえあればコーチングは誰にでも効果があるのです。


誤解5:自分より年下のコーチはお話にならない

少しセンシティブなトピックですね。ここは私がクライアント経験として自分よりも年下のコーチとセッションをした時の経験を例に挙げてみます。

私はスクールでの演習コーチングを含め、老若男女たくさんの方のコーチングを受けさせて頂いています。中には、私より年下のコーチの方も、たくさんいらっしゃいます。

個人的な経験からの結論として、年齢は関係ないです。

コーチの創造性や在り方、コーチングの専門スキルの方がはるかに重要です。もちろん、人生の経験という軸で考慮するならば、年齢は影響が出てくるかもしれません。前述した「アドバイスを頂きたい」などの、コーチの関わりをご希望の方であれば、相応のコーチは年上の方になるかもしれません。

しかし、それ以外であれば年齢は影響がありません。(自分が年上の方が安心だ、心を開けるという方もいらっしゃるかもしれませんが)

それよりも、コーチングを専門的に学び、どういう在り方でクライアントさんと対峙しているのかという姿勢、在り方(Being)がセッションには影響してきます。

視点の転換など創造力が必要なセッション内容の場合、むしろ若い方の方が斬新なアイデアや発想をしてくれ、視点の拡がりがあるなあ、と思いました。

したがって、コーチに年齢はあまり関係ない、というのが私の解釈です。


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上記までの意見は、すべて個人的な解釈であり、人によって見方が変わると思います。あくまで「イチ個人の解釈」として捉えて頂ければ嬉しいです。

「コーチングちょっと気になるな」「コーチング受けてみようかな」という方向けに、コーチングをもっと身近に感じて頂ければとの想いで書きました。必要な方に届いたらいいな。





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