一文物語集 ポケットに入る宇宙の万華鏡 上 その6
本作は、手製本「ポケットに入る宇宙の万華鏡 中」でも読むことができます。
1
昼間の仕事をしている彼は、朝日が山にかかっている間に太陽に入り込み、夕陽が海に沈みきる前に太陽から出て来て、海を泳いで帰ってくる。
2
あの錆びた家は、決して手入れさることはなく、時々、音楽家が集まって来ては、家中からキーキー音を響かせると、ついついその奏でられた音楽に耳を傾けてしまう。
3
海辺にあるそのお店のかき氷は、ほのかにしょっぱくて、店の裏には流れ着いた流氷がつなぎとめられてい