［通常セリフの書体］ 〝漫画にはめてみた〟 #漫画のセリフと書体 #漫画の写植

「通常セリフの書体」の続きです。
各フォントのダウンロード先はこちらをご覧ください。https://note.mu/mizuako/n/nf68719e9196b

今回は、前回紹介させていただいた書体を、実際に漫画に組み込んでみました。数文字だけで見ていたときより、書体ごとの雰囲気の違いが感じやすくなっていると思います。細かなことが不要な方はサンプル漫画だけ見比べてみてくださいね。

※ダウンロードやインストールは自己責任でお願いいたします。
※フォントに変更が加わることがあり、バージョンによって書体の形が異なる場合があります。
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イワタアンチック体B

イワタアンチック体Bは「商業誌っぽい」イメージです。ゴシック体の漢字部分が強く、仮名はそれよりも軽やかに感じます。このリズムが商業誌っぽく感じさせているのかもしれません。実際に漫画に組み込んでみると、更に商業誌っぽさが増します。
「同人誌だけど商業誌っぽくしたい」という方にとてもおすすめです。

※ハートマークは記号一覧から出しました。

源暎アンチック

「源暎アンチックN（v2）」は「イワタアンチック体B」に比べるとやや細身、文字の大きさは少し大きめ。イワタより漢字と仮名のサイズ差が少なく馴染んで見えるため、書体のやわらかさが強調されている印象を受けます。やはりこの書体は「やわらかい」印象です。ハートマークも少しカーブが付いていてやわらかいです。

2018.12現在の最新版、「源暎アンチック v5」はv2以前のバージョンとデザインが異なるそうです。全体的にこぶりになり仮名文字の設計が変更されています。名称が異なるのでファイルの混在が可能です。「お好きな方をお使いください」とのことです。（v2はダウンロードページの「更新履歴を表示」からダウンロード可能です。click）

v5の方がキリっとした印象を受けました。

しっぽりアンチック

「イワタアンチック体B」と「源暎アンチック」の間の印象。イワタのように漢字と仮名の印象に差があり、文章の強弱のリズムがあります。そのためか、漢字は少しやさしいですが、こちらも商業誌に近く感じます。はらいの部分が、イワタは力強く、しっぽりは繊細な印象です。商業誌っぽさは、漢字は「イワタ」、仮名は「しっぽり」との声も。

GL-アンチックPlus

この書体の仮名文字が一番繊細で「情緒」「雰囲気」を感じ、文学的な印象もあります。他のアンチゴチ体よりも仮名文字のサイズが一回り小さい設計。その分、文字間も広くなり繊細さがより強く感じます。個人的には今後、明治や大正を舞台にした漫画を描くことがあったら、この書体を使ってみたいと思っています。

やさしさアンチック

一番個性的な書体です。仮名がぽてっとしていて強弱が少なめなのが特徴で、漢字と仮名がなじんでいる印象です。数文字で見たときにはもっと強く感じましたが、こうやって実際に漫画に組み込むと、書体の形状の影響かやわらかく見えます。文字に太さがあるので強さもありつつ、「やさしさ」も感じる書体です。

すべての書体を並べてみました。

この記事の内容は私の主観のため、人によって別の印象を持たれるかもしれません。その場合はご自身の感覚を信じて書体をセレクトしてみてくださいね。

※追記
2019.10.1
「基本の書体」から「通常セリフの書体」に表現を変更しました。