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あやうく一生懸命生きるところだった

この本のメインメッセージは
人の目を気にせず、好きなように生きよう

著者は周囲の期待に応えようと三浪して名門の美術大学に入り、卒業後3年間無職で過ごす。その後会社員とイラストレーターの二足の草鞋を履く生活をし、40歳を目前にして会社を辞めてしまった。
会社を辞める決断をした時の心境が、本の表紙の裏に書いてある。

あと10分我慢して登れば山頂だと言われて
ひぃひぃ登ったのに
10分たっても頂上は現れなかった。
もう少しだよ、本当にここからあと10分だから・・・・。
その言葉にダマされながら
40年も山を登り続けてきた。
ここまで登ってきたついでに
もう少し登ってみることもできる。
必死に登り続ければ
何か見えてくるかもしれない。
でも、もう疲れた。
気力も体力も底をついた。

チクチョウ、もう限界だ。

あやうく一生懸命生きるところだった 表紙裏の文章

「もう少しだから頑張ろう」
よく聞く言葉だし、私もよく使う。
空いた時間に家事を済ませてしまおうと忙しく動いていると、一息つく間もなく一日が終わっていた、ということがある。
こんな調子で一生が終わってしまったら悲しい。

この本で私の印象に残ったメッセージをいくつか紹介する。
人の目を気にせず、自分のやりたいようにやろう。
大学受験、就職、結婚、住宅購入など、著者が周囲から身勝手な期待をされるエピソードがわんさか出てくる。それらに応えたり応えなかったりして頑張っているうちに自分が進んでいる道が正しいのか分からなくなったので、一時停止することにして会社を辞めたそうだ。
本で聞きかじったことしかないが、韓国の同調圧力は日本より強い。そんな社会の中で、会社を辞める≒道を外れる決心をするのは並大抵のことではなかっただろうと推察する。
私は、幸か不幸かそこまで会社を嫌いになれないし会社を辞める勇気もない。だけど、それで良いのかもしれない。「人生100年時代が来るから複業の種を見つけておこう」系の話を聞いて焦ることが多いのだが、忙しい本業に加えてさらに何かをしようという気が起きないのが本音だ。寝る時間は削りたくない。のんびり生きたい。休みの日に本でも読んで、家族と美味しいご飯を食べられれば結構満足だ。

本当にやりたいことがわからなくてもいい。目の前の仕事をやっていれば見えてくることもある。
著者は、強烈にやりたい仕事はないけど、やりたくない仕事はあるタイプ。だから、全く合わないものじゃない限り、自分ができる仕事を何でもやってみようと考えて、知り合いの会社に就職したそうだ。
私も同じタイプなので働くモチベーションを考える上で参考になった。
「子どもを預けてまで仕事するなら、絶対にやりたいことをやろう」的な言葉を聞いて憧れはするのだけど、「絶対にやりたい」ことがない。でも働きたくないわけではないし、自分のできることで貢献できるのは嬉しいし、会社で必要な仕事はきちんとやる人間だ。
情熱的ではない人間の指針になる生き方をもっと知りたいなと思う。

現状を認める。普通の毎日を幸せに過ごす。結果ではなく物語。
私がここ1年意識してきたことと一致するので、背中を押された気分だった。無いものねだりにはキリがない。今持っているものに目を向けることが幸せへの第一歩。
書いてみると当たり前のようだが、なかなか難しい。
私は日本で普通の日本人として生きてきた。学校の成績がついたり(足りないところは頑張りましょうというコメントが付く)、運動会でビリになったり、受験をしたり、結果を人と比較して優劣をつけられる機会はたくさんあった。一方で「あなたのここが素晴らしい」と認めたり認められたりする機会は殆どなかった。そうやって生きてきたので、呼吸するように自分と他人を比較してしまう。その習性は仕方がないとしても、私は自分や子供や環境の現状を認めて、結果だけでなく途中経過を楽しめる人間になりたいと日々心掛けている。

続編も出てる!


イラスト:シュノーケルで魚と泳ぐ女の子が、わが道を行く感じがして良いなと思い、これにしました^^

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