もう夏だね
春、桜はもう散る頃、今年の花見をつい忘れていた独身中年男性が葉桜を見ながらワンカップ大関を仰ぐなんてことは、あの国で見られる光景ではないし、桜なんて多分咲かないし、季節感も分かりません。
そんな地中海に面するカルチョの国で3年前の春、彼女、Sophie Antonucciは産まれた...。今はSophie Lambruschiと言うべきか。
しかし、もう3年が経ったのである。月日の流れは早いもので、Romaでは監督が二度変わった。
数年前、彼女ーSophieーの両親が袂を分ちた理由は敢えて触れないでおこう。今は彼、そして彼女たちなりの幸せがあるのだから。
Sophieは今、母親であるGinevraと共に過ごしている。イタリアでモデルとしてそこそこ知名度を稼いでいる彼女は、自身のInstagramの投稿が肌色で統一されてることで有名だ。“統一感のある”インスタグラマーである。
父親であるあの人は、今季Speziaで思うようにプレーできず、シーズン後半からはCosenzaに活躍の場を移していた。
Mirko Antonucci。
月に一度、彼は自分の娘に会うことができていたようだ。
既に新しいパートナーと熱い日々を過ごす中でも、少なくとも彼にとってこの子の存在は生きがいの一つに違いない。
どうやらSophieにしっかり懐かれているようで、かつて奇抜なバンダナファッションやGinevraとの敗戦後Tiktokで賑わせた頃の姿はもはや遠い過去、と思いたい。一応父親なのである。
3歳になったSophieは簡単ながらも言葉を話すようになり、あんなに小さかった身体も今や大きく、天真爛漫な女の子に育った。そんな彼女にもお友達ができたようだ。
隣のお家から男の子がこちらを見ている。一緒に遊びたいのかな?
透き通るような青い目に少し癖のかかった髪の毛...。
そうだ、あの子は近所のTommasoくんだ!
“Ciao, Tommy!!”
挨拶をすると笑顔で出てきた出てきた。
こんにちは、海で一緒に遊びましょ。
何して遊ぼうかな。そうだ、お洋服屋さんごっこしよう!
Sophieは3歳と3ヶ月。Tommasoは2歳と11ヶ月である。丁度いい歳の差ではなかろうか。生まれ年は同じであるが、学年は一つ違う。Sophieの方がお姉さんである。これくらいの年齢から交友を深めれば、いい感じの幼馴染になるだろう。TommasoにとってSophieは小さい頃からずっと知ってる仲の良い、日頃自分には謎に冷たいが、夜トイレに行く時は手繋ぎを求めてきたり、ジェラートを買ってこいとお互い良き年齢になってもパシってくる、一つ年上の良きお姉さんになるだろう。
ところでTommyくん、あなたのお父さんは何をしてるの?
パパ?もうすぐ一緒に暮らすんだ!違う国だと自分のプレーができないんだって。
嘘だ!マンマのパスタが食いたいだけだ!
どうやらイタリアにこの夏帰ってくるようだ。
Nicolo Zaniolo。
彼の過去についてはここで今更記すこともない。数年前はピッチ外、女性関係や夜遊びなどの記事でカルチョファンを盛り上げた。
首都のクラブを去った後、海外で過ごしていた彼にもいよいよ帰国の時が近づいてきている。
それもあるのだろう。ZanioloとSaraは縁を戻すことにしたようだ。
当時Saraが妊娠した後、文字通りやり逃げの如く、一時彼女の目の前から姿を消したZanioloだが、出産時には立ち会うなど父親としての意識はあるようで、たまにTommasoと会うこともあった。
一度切れた縁もふとした瞬間に再び繋がる。2人、いや3人の間でどんな会話があったなんて知る由もないが、これから末長くこの3人が共に幸せを築いていってほしいと切に願う。
夏のメルカートがいよいよ始まる。彼らにとって移籍は生活を変えることでもある。家庭を持つ選手にとっては今後の家族の未来に関わる重要な時期だ。マネーゲーム化、そして特にこの時期、選手を陳列棚に並べられた商品と勘違いしているようなファンばかりの今のフットボール界。彼らの背後にあるのは普通の家庭であり、普通の生活である。ここを忘れたくはない。
意思決定は選手という一人の人間にあり、それはプレーも移籍も同じだ。
MirkoとNicoloの今後のキャリアに幸有らんことを。
SophieとTommasoを泣かせたら僕が許さない。
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