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水の空の物語 第5章 第3話

 でも、夏澄くんが危険な目に会うなんて……。 

 風花は壁にもたれた。
 落ち着きなく、また身を起こす。 

 ベッドで大の字になっている飛雨は、首だけ風花のほうに向けた。 

「飛雨くんは今回、全然心配しないんだね。」 

 風花はずっと疑問だったことを訊いた。 

「なにを?」 

「夏澄くんが盾になるってこと。だって夏澄くんが傷つくかもしれないんだよ。絶対、反対すると思ってたのに」

 「ああ。実は夏澄にそんなことさせないよ。夏澄にはバレないように、オレがこっそり盾になる」

  夏澄を護るために、オレが風花の盾になる。

  オレが護るんだよーと、唄うようにいう。

  夏澄を護るー、夏澄を護るーと、ぶつぶつつぶやき始めた。 

 なぜか、満面の笑みだった。



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