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【観劇】『イキウメの金輪町コレクション 甲』

2021年2月4日(火)18:00〜
@東京芸術劇場シアターウエスト
¥6,000

イキウメーー!
今一番好きな劇団のひとつなのに、昨年は本公演(『外の道』)が中止、外部公演とも言える『迷子の時間』はチケットが取れず、結局ほぼ2年ぶりの観劇だ。
しかもなんと、2月だというのに2021年の観劇始めでもある。くく、泣けるぜ。
今回は客席を減らしている上に公演期間も短い。さらにその期間内に3演目上演するというのでチケットは激戦となった。劇団の先行発売も中止になったので、一般発売開始と同時にネットでトライ。甲乙丙の3公演中、丙のみ完売で取れなかった! OMG! ショックだったけど、取れなかった分は配信で見ることにして自分を宥めたのだった。

めっちゃワクワクで池袋へ〜。東武で家人へのお土産を買っても時間があったので、8階の催事へ。(平日なのでどこも空いていた。)バビのピスタチオソフトクリームを食べた! ソフトクリーム一個550円?! たっか! でも食べる。ピスタチオとチョコとミックスの3種のうちミックスにしちゃったけど、ピスタチオにすれば良かった・・・チョコが濃厚過ぎてピスタチオ負けてる。おいしいんだけど、ピスタチオを求めていたアタシにはチョイスミスであった。無念。

さて本題、久々の芸劇へ。
バリバリに感染症対策を採ってあり、安心するも切なくなる。いつまで続くのかこの事態は。
当日パンフをもらい、ロビーにあった金輪町ジオラマやバス停(大道具?)を眺めて席につく。舞台に近過ぎず遠過ぎず良い席だ。まあシアターウエストは小ぶりなので、どの席でも見やすいけれど。

イキウメ作品の舞台となる“金輪町(こんりんちょう)”。ゆかりのある短編・落語とプログラムを分けて上演!
奇妙な事件や都市伝説が多く、オカルト系の好事家の間では有名な町、金輪町。
作品の記憶をたどり、ゆかりの短編・落語・そのほかを、3つのプログラムで上演します。
(劇場サイトより)

この日の上演は「甲」プログラム。

・箱詰め男

死を目前にした脳科学者は、体を捨て、自分の脳をデータ化してコンピューターに移し替えた。記憶と意識だけの存在となり、箱に収まった男はどんな夢を見るのか。
「私は紛れもなく、私である」
(劇団サイトより)

アメリカから5年ぶりに帰国した宗男が、変わり果てた父・不二夫の姿に驚愕するところから始まる。寄木細工風の筐体にあかりが灯り、話しかけると返ってくる無機的な言葉はまるでアレクサだ。
これは観たことがある。調べたら2018年の『図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの』の中の一本だった。

人間味のない不二夫に、嗅覚センサーを付けたところから状況が変わってくる。感情が蘇ったのだ。最初はコーヒーの香りに喜んでいた不二夫だったが、嗅覚が呼び水となり溢れてくる思い出に悩まされる。なまじ機械となったため、忘れることができないのだ。

最初はコメディだったのが、段々とあやしげな雰囲気に。
共同研究者の時枝氏に言った「妻と寝るのをやめてください」のところで「ひっ」となった。そこから若い頃の思い出したくない記憶に苛まれるようになる。どうやら不二夫は弟の想い人をめぐって何かあったらしい。
何も言えず熱暴走を起こした不二夫は「センサーを切ってくれ」と懇願する・・・。

センサーを取り外したとしても記憶は消えない。忘れられる訳じゃない。どうなったんだろうな・・・。
2018年ver.では安井さんがお父さん役で、それがとてもよかったから今回のは最初少し違和感があった。でも浜ちゃんの人外感というか機械っぽさもまた良い。

↑この噛んだ回、見たかったなーーー!​

そして2018年はお母さんが千葉雅子さんだったんだ! そっか、そう言えば。思い出したけど、すでに記憶は朧げだ。安井さんの声と喋りのトーンにおかしみと悲哀を感じたことは強烈に覚えている。
ああ、なんでアタシの記憶はこうもポンコツなんだろ。
だからこそこうやって感想を書き留めているわけだけど、もうちょっとまめにやろうね深月さん。

・やさしい人の業火な「懐石」

刑期を終え、出所したばかりの青年は道すがら、見知らぬ男たちに暴行される。
通りかかった夫婦は、傷付いた青年を連れ帰り手当てした。
夫婦の善意に、青年は首を かしげる。
「僕、人殺しかもしれませんよ」
(劇団サイトより)

めっちゃ怖い! めっちゃこわ!
人衛くんの個性的な声とルックスが、かわいいからこそ怖さを倍増させてる感じ。
これは初見。けっこう昔に上演されたものらしい。
私の初イキウメは2011年の『散歩する侵略者』で、この時人衛くんは謎の中学生を演じていて心底不気味だったけれど、今回の丹野(青年)もやはり不気味だった〜

もてなしとは。人の善意とは。
丹野は夫妻の善意を試したのか、それとも?
去っていった丹野は、はたして夫妻の店に来るのだろうか。

・いずれ誰もがコソ泥だ、後は野となれ山となれ

男は万引きのプロフェッショナル。必要なモノしか盗らず、換金目的の万引きは
決してしない狩猟採集民だ。出会った女は懸賞のプロフェッショナル。
「お前に美学を感じる。俺と付き合え」
(劇団サイトより)

これも初見。2012年に上演された演目の様ですが、まだイキウメを追いかけ切れておらず見逃したっぽい・・・
どんなに美学があろうが、所詮万引きは窃盗。犯罪よ。犯罪者なりにルールとか言ってるのが的外れすぎて笑えると言うか。懸賞は犯罪じゃないからいいっちゃいいんだけど、健全ではないねw や、万引きした食品を食べたり、盗んだ商品についてるシールで懸賞に応募してるんだから女の方もじゅうぶんに黒か〜。

コメディタッチで面白かったけど、これに似た話をどこかで見た(読んだ?)ような既視感があるのよね。なんだったかな?
悪事に美学って・・・ルパンとか池波正太郎の時代小説か?(いやそうじゃない)
安井さんのキャラクターがやはり良い味を出しているのよね。
そして万引きのプロで業界の掟?を守らない男「平雅」に浜ちゃん。ぬめっとした人外感がものすごくハマっていて、めっちゃイラつくーーw

イキウメ作品を見てると時々出てくる「金輪町」という町の名前。いつもはさらっと聞き流す名前だけど、今回こうやって集めてみると世の不思議は全てここで生産されているのでは?!ってくらいの怪異に満ちてるよね。
しかもこのコレクションには入っていない長編の演目もあるし・・・。
とりあえず次の「乙」プログラムもたのしみーー❤︎

次のエントリーもどうぞ〜
先に「丙プログラム」を観ちゃいました。

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