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『フェイクスピア』NODA・MAP #24

2021年6月2日(水)14時開演
@プレイハウス
¥12,000

野田さんのお芝居は、いつもキャストが豪華でおもしろくてちょっぴり消化が悪い。でもってチケットがめっちゃ取りにくくて高いんだよね。
何かのDMで先行抽選予約受付中っていうのが届いて「高橋一生くんか〜ちょっと観たいな〜。あっ、村岡さんも出る! これは観たいかも」ということで申し込んだ。まあ当たらないだろ、高いからハズレてもいいやってくらいの気持ちだったんだけど、そういう時は当たるというこの世のセオリー。

というわけでありついたチケット。一階席のやや後方だったけど、文句は言うまい。当日行きがけに発券したんで席番を知らず双眼鏡持っていかなかったのを悔やむ。これは持ってくるべきお席だった・・・普段ちっちゃい劇場しか行かないから双眼鏡を持って行くって考えに至らいんだもん。
さて、『フェイクスピア』今回もやっぱりすごくすごかったけど(語彙)どうすごかったかを言語化できないし、悪あがきはよして頭悪い人のアタマワルイ感想として残しておくことにする。もともとこのブログは自分のための備忘メモなんだし〜〜。

注意! ネタバレ気にせず書いてます!

まずは一生くんがとても良かった!たぶん舞台を拝見するのは初めて。映像でちょいちょい観ていて、好きな役者さんのひとりではあったんだけど、期待以上だったわあ。
声良し、言葉も聞き取りやすい、立ち姿も動いてもなお良し。プロポーションだけでなくキチンと鍛えられている身体なんだろうな〜安定感がある。劇中劇っぽい部分で女性のセリフを発し、はらりと頽(くずお)れる様はなんとも艶めかしい。
いまさらながら『天保十二年のシェイクスピア』を観ておけば良かったと後悔した。この演目をアタシは上川版を観ているんだけども、ごく私的な事情で黒歴史として刻まれているので尻込みしちゃったのよね。上演時間が長いのはもともと苦手だし。芝居自体や役者さんたちに罪はないのよ〜。てか逆に高橋一生版を観て、やはり良いものだと上書きすれば良かったんじゃね?と今気づいたよ。ああ、映像でいいから観ようかな。WOWOWとかで放映あるかな〜〜

そして生で彼を見て、改めて井内くん(パラドックス定数)に似てるなあとおもった。瓜二つとかそういうんじゃないんだけど、細身でしなやかな筋肉とか。骨格、特に顔の形がよく似ているし、骨格が似ているせいか声までちょっと似ている気がする。少し高めのやわらかい深みのある声。
背丈だけは圧倒的に違うけど、相似形って感じ。一生くんは大きな井内勇希、井内くんは小さい高橋一生。

そしてご贔屓の村岡希美さんは磐石。素敵だったーーー。
嬉しいのが、野田さんがパンフレットで「もっと評価してされるべき名優」と褒めてくれていること。そうよそーなのよ。
降板しちゃった大倉くんも好きな役者さんだから残念だったけど、代わりに立った伊原さんも好きなのでそれはそれで美味しい。舞台でまみえるのは『彦馬がゆく』以来なので・・・え? ほぼ20年ぶり・・・

相変わらず言葉の洪水。早口で捲し立てられセリフが聞き取れない箇所多し。これもいつものこと。特に橋爪さんと野田さんは聞き取りづらかったなあ。橋爪さんは各所で絶賛されているけど私には言葉が聞き取れず、セリフ噛みまくってる??と思ってた。でも他の人は聞き取れてる(らしい)し、誰もこんなこと言ってないから、きっとアタシは耳が悪いんだろうな・・・。聴力ではなく、聞き取る力が。そう考えると普段の生活でも聞き間違いとか聞こえなくて聞き返すことが多いかも。
聞き取れない言葉が多いから、芝居の理解度が低いのかなあ。ただ頭悪いだけかと思ってたら耳も悪かったとは。だって橋爪さんの役は「タノ(楽)」だってこと、帰りの電車でパンフを読んで知ったんだよ。ずっと「タロ? 太郎?」と思ってた。間抜けすぎる。
頭のせいか耳のせいか、わからんながらも楽しんでいたわけだけど。
シェイクスピアもマクベス以外はうっすらとしか知らないなりに察しつつ。(ハムレットでは一生くんが王のセリフにセルフエコーつけてて可笑しかった)
はるか古(いにしえ)に読んだ『星の王子さま』『夜間飛行』のぼんやりした記憶を手繰りつつ(夜間飛行最高と文庫を貸してくれたミチヨは元気だろうか。良さが解らなくてすまんかった)。

コメディっぽい前半に油断して笑ってると、後半の凄まじさに巻き返されるのだ。
たぶんアタシの世代だったらもっと早くに察知するものなんだろうけど、アタマワルイので気付くのがちょっと遅かった。でもあの事件のことはリアルに思い出せる年齢なので、気づいた瞬間「え? これアレだよね? 大丈夫なの? なんで今?」と、みょうに身構えた(心で)というか、ぐるぐる考えてしまった。
その瞬間アタシの頭の中は36年前に戻った。朝刊が来ないので大事件があったのだろうとテレビをつけたら御巣鷹山の映像が・・・という夏の早朝のシーンが繰り返し再生されてしまう。
このくだりは『クライマーズ・ハイ』の感想でも書いたんだよね。その記事に23年前の事故とあって、この映画からも13年経ってるんだ・・・と驚愕。そしてこのブログ、そんな前から書いてたんだな(怖)

一生くん演じるmono(モノ)が持っていた「言の葉」の入った「箱」はコクピット・ボイスレコーダーで、ラストシーンは123便が遺した実際の音声を忠実に再現した機内の様子だった。モノは機長でタノの父なのだ。
このシーンがまさに圧巻で、息を呑むってこういうことだな、と。ボイスレコーダーの音声はニュースなどテレビで何度か放送されたのだろうが私は聞いたことはなく(若しくは聞いたのに忘れたか)、それでも圧倒的なリアルさに慄然とした。
舞台の中央にキャスター付きの椅子を並べ、役者が機長・副機長・スチュワーデス(当時)・乗客となって旅客機内と見立てる。セリフは現実におこなわれたやり取り。椅子を大きくすべらせ機体が大きく揺れているのだとわかる。結末は知っているはずなのに、絶望感を予測しつつも手に汗を握り、胸はバクバクと波打つ。

モノは123便の機長で、タノの父だった。
アノ箱にこめられていたのは、父の「生きろ」というメッセージ。
(永遠+36年と何度も繰り返されていたけど・・・36年前に3歳だったタノは40歳くらい? でも同級生のアタイは高卒後に年一回のイタコ試験を50回落ちてるんだよね? アレ?)
年齢の件はまあ、時空が歪んでるんだとおもってスルーするw

あの事件を題材にする意味はなんだろうなと一瞬考えたけど、意味なんて考えたって無意味だとおもいなおして考えるのをやめた。
あのボイスレコーダーの再現について大丈夫なのかなとザワついたけど、当然野田さん本人が一番いろいろ考えたはず。無料のリーフレットにばばーんとそのことが載ってたわ。
遺族や関係者の方が観たらどう感じるのでしょう。生きよというメッセージではあるけど・・・
そして若い人にはまったく判らないかもしれないよね。30代以下だとリアルタイムはもちろん、事故自体を知る機会も少ないだろうし。そういう人が観たらこの舞台はどう見えるのかな。

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観劇後は気になって、たくさんの人の感想を読んだ。大きな舞台は感想もたくさんあって嬉しい。アタシがよく観るような小劇場だと公演期間も短かったりして、感想を探しても数人とかだったりするから。
感想を読んでそうだったのか!と気づくこともいっぱい。みなさんすごい! 頭がいい! 目も耳もいい! 物知り! ってなる(アタシが莫迦なだけですが)。
上下に引いて転換する布は「ブレヒト幕」っていうとか(カーテン方式じゃなくて板やドアだとなんて言うんだろ? 結構いろんな舞台で見るけど)
舞台装置は能舞台を模している!(模型見ても判らなかった・・・お能見たことないから?)
一生くんファンはイセクラと呼ぶらしいw

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いろんなことが気になって感想や関連のモノゴトを掘ってはみるけど、やっぱりもう一度観たくなっちゃう。まあチケット取れないし大阪まで行く熱量と財力はないから今回はここまで、かな〜。
リピ観劇した詳しい人に授業してほしい気はするw

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