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小説

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自筆の小説(散文)
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2020年10月の記事一覧

私の最愛のお相手

 思えばこれまで、沢山の他人に傷つけられてきた。国語の授業で詩を書いた時、私にポエマーと…

相川 実
3年前

かっぱ

1年くらい前から、クラスメイトに河童と呼ばれるようになった。理由は、私がきゅうりを好きだ…

相川 実
3年前
3

雨の前

あなたを愛していた。だからずっと、愛が義務にならないことを祈っていた。だけど声に出さな…

相川 実
3年前
1

女の部屋

自分で自分の手首を噛んだ。付いた歯形も次に見る時には消えてしまっている。そう知っている…

相川 実
3年前
4

ねぇ、日曜日の夜だから?

ただ寝ていただけの休日に自己嫌悪を抱いたけれど、それさえも自慰みたいでやるせない。昼寝…

相川 実
3年前

闇落ち

君に取り残された僕に、もう行き場所なんかない。せめて死に場所くらいは、と思うけど、暗闇…

相川 実
3年前
3

空中戦

愛してほしいとか、恋焦がれたいとか、そんな大層なことは望んでいない。ただ、暇な時に暇だと言える相手がほしい。それくらいの願望で、私の胸は苦しくなる。誰かの暇を潰してやっても、私の中は満たされなくて空っぽみたい。空っぽなら沢山入るね?なんて、脆いだけの器に、果たして価値があるのだろうか。 ありがとうすら素直に受け取れなくて、また明日さえ怖がってしまうのに、希生念慮だけは立派で、なんだか死人みたい。辛さをわかってくれる人どころか、甘いケーキを分け合える相手もいない。 私

仇地区

「ねぇねぇママ!」 「どうしたの?ゆうちゃん」 「あだちくって、しってる?」 「あら。懐か…

相川 実
3年前
4

投じ者

「あー。ズレた。ねぇ、次の球でスペア出せたら、キスしてもいい?」 「えー?倒せたらね!」…

相川 実
3年前
1

泡沫詩

誰かの胸が剥がれ落ちた夜に私は歌を歌った。それが一番馬鹿らしくて誇らしいと思ったから。…

相川 実
3年前
1

これくらいの

「ちょうどいいでしょ」 全然ちょうどよくなんてないお下がりのワンピースにも、いとこのお姉…

相川 実
3年前
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くま

私はくまと闘っている。目の前のくまはとても優しいくまだ。できることなら闘いたくなんてな…

相川 実
3年前
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