闇落ち

 君に取り残された僕に、もう行き場所なんかない。せめて死に場所くらいは、と思うけど、暗闇の中はさまよったって沈むばかりだ。
失望させたのは僕だけど、どうか忘れないでいてほしい。今日みたいな寒い日の夜には、ちゃんと思い出してほしい。君に縋った僕がいたことを。

 僕はこれからも暗闇の中で君を恨み、同時に、君の幸せだけを願い続けているからね。いつか消えるその日まで、一時たりとも忘れない。いや死んだっていつまでも、しっかり覚えていてあげる。だって君だけを愛していたから。
それなのに君は弄ぶだけで、愛してなんてくれなかった。真っ暗な缶の中に取り残された僕は、君の悪意の舌打ちを浴びて泣いた。

 揺られながらもなお鮮明に、君をまた憎らしく思う。ああ、このまま君を憎み続けて、僕はどうなってしまうのだろう。

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