空中戦

 愛してほしいとか、恋焦がれたいとか、そんな大層なことは望んでいない。ただ、暇な時に暇だと言える相手がほしい。それくらいの願望で、私の胸は苦しくなる。誰かの暇を潰してやっても、私の中は満たされなくて空っぽみたい。空っぽなら沢山入るね?なんて、脆いだけの器に、果たして価値があるのだろうか。

 ありがとうすら素直に受け取れなくて、また明日さえ怖がってしまうのに、希生念慮だけは立派で、なんだか死人みたい。辛さをわかってくれる人どころか、甘いケーキを分け合える相手もいない。

 私は私と愛を分かち合って、嫌気がさして、死にたくなった。もっと生きたいと願ったまんま、私は死にたくなった。どちらも本当の気持ちだから、死にたいなんて口には出せない。家に帰って泣いてみたけれど、腫れたのは目の上だけで、カーテンの隙間から見える景色は雨で濡れている。

 死ぬ理由がない限り私は生を願い続ける。死にたいを胸に秘めたまんま。生きる理由を言葉にできるまで、私は生きたいと言い続ける。いつか、隠れた何かを見つけ出せるように。

 生きたくても死にたくても私は私の運命をどうこうできたりもしないから、だから空を見る。それくらいの抵抗しかできないから。ただ空を見て、呼吸させられて、いづれ寝て、また起きる。その繰り返しが、踊り狂ってしまえばいいのにという、破壊願望に乳を吸わせて、大事に育てる。でもどうせ私は結局、その破壊願望を自らの手で壊して終わらせてしまう。だって昔から、そういうつまらない女だから。

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